Diamond in the “Laugh”【1】 (ページ8)

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Side BLUE

『長野のスタッフから連絡が入りました。
松村さんの体調が悪いみたいです。
明日の始発で戻るはずでしたが、本日の最終で東京に戻る予定になりました。
迎えが必要と言われたので行くことにします。
明日リスケになる可能性がありますので、把握しておいてください。』

マネージャーからそんなメッセージが入っていたのが昨日。
迎えが必要なほどの体調不良って相当高い熱でもあるんだろうか。
北斗に個人メッセージも電話も入れたが反応は無かったけど。

「体調悪いって……そういう…？」

仕事に向かうための迎えの車。
俺が先に迎えに来てもらったので、マネージャーから昨日の様子を聞いたけど、まさか、風邪なんかの類じゃないなんて。
精神的におかしい、と、そんなことを言われると俺も戸惑った。

何度電話しても出ないし、駐車場に降りても来ないから、インターホンを押しても反応なし。
怖くなって管理人さんに事情を話し、部屋を開けてもらう。

「マネージャーは待ってて。
現場に連絡とかよろしく」

俺は一人、北斗の部屋のドアを開けた。

「……北斗？いるの？」

幸いドアガードはかかっておらず、中にすぐ入れた。

「北斗、大丈夫？……おいって！聞こえてる？」

北斗はベッドの上で、ブツブツと何かを話していた。
反応はなくて、目に光はないけれど、視線の先が台本であることから、それは映画のセリフなんだと気付くのはそう遅くなかった。

「北斗！！！」

パッと台本を奪うと、北斗は驚いた顔でこちらを向いた。

「…樹？……どうして？」

「どうして？じゃねぇよ！こっちのセリフ！
連絡しても全然反応ねぇし、何回インターホン押したと思ってんだよ！？」

「…ぁぁ…」

小さく震えた北斗に、しまった、と思った。

「……北斗…怒鳴ってごめん。病院行こう」

細くなった体を抱きしめて背中を擦ると、
北斗は、声を上げて泣き始めた。

＿＿＿＿＿＿

撮影の前になると、特にスノーボードのシーンはプロの方の指導がかなり厳しく、緊張と不安に押しつぶされそうになること。
そのまま、食事が取れなかったり、嘔吐があること。
台本を開くとできない自分にポロポロ涙が溢れてしまい、夜は中々寝つけないこと。
そして昨日は限界で、人前で泣きわめいて過呼吸を起こして倒れたこと。

北斗はそんなことを医者に話していた。