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Side BLACK
……まずい。しんどい。
駅で電車を見逃して三本。
体が重くてベンチでずっと動けないでいたが、ようやく電車に乗り込むことにした。
メンバーの前でここまで体調を崩してしまったのは初めてで、先程の苦しさとは違う意味で心臓がドキドキしている。
バレちゃったらどうしよう。
皆に迷惑かけちゃったらどうしよう。
そういう不安で胸が締め付けられそうだった。
最寄り駅で降りて、人が少なくなってから改札を出る。
……っ、
「んだよ、もう、………」
ゾクゾクっとした感覚に思わず振り向きそうになったけど、振り向いたって仕方ないのも分かっている。
そそくさと小走りをすると、聞こえてくるあちらの走る音。
「っ、どうしよう」
ここまで音が近いのは初めてで、足を早める。
怖い、ガクガクと震えてしまって転けそうに。
「はぁ、……はぁっ、」
元々体調が良くなかったのも災いして、上手く体が動かない。
でも立ち止まっている暇は無くて、目の前の横断歩道を無視して、歩道橋の階段を1段飛ばしで上がる。
「逃げんなよ、」
バッ！と肩を掴まれて、そのまま、歩道橋の上で押し倒される。
「や、やめろよ！…何なんだよ！」
「……何って、…幻覚じゃねぇの？」
「頭おかしいだろっ」
逃げなきゃ。
振り払い、立ち上がって、ポケットからスマホを取り出し、
『もしもし、北斗ぉ？どした？具合悪い？』
トーク履歴の一番上のやつに電話をする。
必死でかけた電話は、あんな態度を取ったあとなのに、とても優しい声がした。
「っ、慎太郎！…た、助けて！おれ、！」
階段を降りようとしたその時。
ドンッ！
と衝撃が背中に走って、
俺はそのまま、勢い良く階段を落ちた。
「ううっ！かはぁっ！……ゲホッ！げほっげほ」
全身が酷く痛む。
いつだったかドラマで階段を滑り落ちるシーンをやったがそんなの比じゃない。
背中に激痛が走って、息が上がる。
「はぁ、はぁ、……っ、」
ぼやける視界の中、
逃走していくアイツが見える。
『もしもし！？北斗！ほくとってば！！』
「はぁっ、……ﾊｧｯ…
しんたろ、……助けて、！…
か、階段から、おと、されてっ」
痛いのと一瞬のうちの恐怖とがマックスになって
息が上がる。
『へ！？今どこにいるの？怪我したの？』
「ん、……はぁ、…動けない…」
ポロポロと涙が出てくる。
……あれ、…慎太郎の声、……遠くなって……
「たす、けて……」
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作者名：あーちゃん
| 作成日時：2020年6月12日 16時
