___※ ページ40
※出血シーンあり
Side BLACK
「北斗！！あっ、ぶね！大丈夫！？」
慎太郎と二人で尻餅をつく。
足を庇っていること、いつもと靴が違うことによりバランスを崩してしまった。
慎太郎が助けてくれなかったら、ステージから落ちていたと思うと背中がゾクッと震えた。
……もしかしたら慎太郎に怪我をさせていたかも
「っ、ごめん！……はぁっ、」
荒い息に合わせてずきんずきんと足が痛む。
「……北斗、少し休もう。
いま無理してもなんの意味もないから」
京本が駆けて来て、慎太郎も「そうだね」とにっこり笑った。
二人に支えられながら立ち上がる。
「お医者さん来てくれるって」
医務室でマネージャーから告げられた言葉。
どっと疲労と痛みが押し寄せて、息が苦しい。
「痛み止め、飲んでただろ。」
「……だけど、全然だめ…ずっとドクドクしてる」
高地が心配そうに見下ろしてきて、思わず弱音。
「ほくちゃん、俺もここに居るね」
「え、なんで？いいよ。休んでなよ」
ジェシーが楽屋に戻らず医者を待つという。
「だって俺注射とかやだもん」
「じゃあ尚更だよ、笑
それに注射とかするか分かんねぇよ？」
「でも、ほくちゃんも嫌でしょ？
だから一緒にいてあげる」
「なんだそれ」
ケラケラ笑っていると、
昨日の医者がやってきて、真剣な顔つきで俺の足を触る。
「い゛っ！」
「痛み止め、いつ飲みました？」
触られた感触に思わず声を出すとそう問われた。
素直に答えると、「うーん、」と考えたあと、
「強い薬、注射しておきますか。」
困り顔をした。
「…あ、…はい、…お願いします」
ジェシーと目が合う。
えへへっ と笑う姿に泣きそうになる。
「これで痛いの治るから頑張ろ？」
「うぅ、……最悪、」
隣に座っていたのでそちらを向いて、
ジェシーの肩に顔を埋めると長い腕で上半身を包み込んでくれた。
「あぁ゛！いったぁっ！」
あまりの痛みに涙がこみ上げる。
「ほくちゃんっ」
ぎゅっと飛びついて耐える。
ジェシーはその間ずっと手を握ってくれた。
＿＿＿＿＿
「北斗、目が真っ赤になっちゃったね」
「うっせ」
樹が俺の姿を見て爆笑してくるので顔が赤くなる。
……笑える間は、全力でアイドルでいなければ。
ステージ上ではずっとずっと、痛みを忘れていた。
「北斗それ！！誰か、絆創膏持ってない！？」
裏で着替えているときに樹に指摘されたのは、
左足の靴下に滲む赤色だった。
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作者名：あーちゃん
| 作成日時：2020年6月12日 16時
