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Side BLACK
あ、これはやばい。と思ったのは、アンコールでＴシャツに着替えて再びステージに向かう階段でのことだった。
「はぁ、…はぁっ、ん、」
ピリピリと腰のあたりまで痛みを感じて、階段の一歩が一歩が上がらない。
「北斗、どうしたの。汗凄いよ…大丈夫？」
ぽん、と背中に手が当てられて、びくっと驚いてしまう。
ジェシーだった。確かに普段ならこんなに息も上がっていないはず。
昨晩、スマホの検索で調べた程度の知識で巻いたテーピングじゃ、
いくら本番のアドレナリンでも限界が近い。
「ちょっと、…張り切りすぎちゃった」
「えへへ、たのしいね」
くしゃっと笑う顔に頷いて、一歩を持ち上げる。
「はぁっ、いっ、たあぁ゛！」
そこからの記憶は正直あいまいで悔しくなる。
コンサートが終わって、裏にはけた途端に座り込んでしまう。
酷く息が上がっているし、足に感覚がない。
「ほ、北斗！？どうしたっ？」
「えっ、足けがしてんじゃん！」
樹と高地が寄って来て、もう隠す余裕はなかった。
「まじで！？スタッフさん氷と車いすか何か持ってきてー！」
京本の声が遠くからして、ざわざわと周囲が動き出す。
「あぁ゛、いたい、…いたい、！」
「北斗、落ち着いて。大丈夫。とにかく明るいとこに！」
「立ち上がるよ、せーの」
あまりの痛みにパニックになっていると、慎太郎とジェシーが両脇から抱えて一緒に歩いてくれた。
「すぐ病院に行こう」
慎太郎やジェシーに氷を当てられたり、汗を拭かれて、着替えを済ませると、高地がやってきた。
そうか。今日は土曜だから、樹と京本はＡＮＮだ。
「うん、ごめん…2人ともありがとう」
「これ、持っていきな」
高地に車いすを押されながら、慎太郎から氷を受け取った。
「どうしたの、それ」
「…実は＿＿＿」
マネージャーの運転する車内で高地に事情を素直に話す。
さすがにもう隠し通せないし、あまりの痛むもんだから。
話すと気が緩んでポロポロ涙が溢れた。
「ったく、無理してもいいことないだろ…？
…辛かったな」
優しい眼差しにこくりと頷いて、病院内へ。
(To be continued)
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作者名：あーちゃん
| 作成日時：2020年6月12日 16時
