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Side BLUE
「っ、…北斗！」
包帯ネットを頭に巻いて、
カニューレを鼻につけて、
背中とお腹は分厚いコルセットで固定されて、
点滴や心電図、オキシメーターなんかに繋がれて
北斗は、目を覚ましていた。
「ふふ 来たな？」
ゆっくりとした口調で、
唇の片側だけほんの少し上げた口角。
ずっと聞きたかった北斗の声だった。
「お前、なんで起きてんの！？」
呆気にとられた俺は、ベッドの柵に身を乗り出した。
「5日も眠ってたんだから、…そりゃ起きるでしょ」
ふにゃふにゃ笑う北斗。
それから続々とみんながやってきて、
北斗はほんの少しそれぞれと話しただけで
疲れたのかまた眠くなったらしい。
「寝てろよ、北斗。」
「寝たら樹怒るでしょ」
「ハッ 怒らねぇよ！笑」
目をとろんとさせているのに、
一生懸命目を開けようとする北斗。
「………こわ、くなっちゃった、…はぁっ、……」
北斗は手を胸に当てて、
少し苦しそうな呼吸をした。
まだ痛みだって有るだろうし、
全治6ヶ月と言われた骨折とそのリハビリを考えたら、そりゃあそうだと思う。
ICUにいる間は油断は禁物って言われたし。
「北斗、……大丈夫だよ。
寝ても覚めても俺達ずっと居てやるからさ、笑」
慎太郎がニコニコと微笑む。
「お前仕事どーするんだよ、
明日DASHのロケだろ、笑」
「Ahaha！
どこでもドア使って行けばいいじゃん、笑」
「ジェシー、テキトーすぎ！笑」
高地もジェシーもきょもだって、
みんな笑っていて、
この笑顔、やっと見れたなぁと思うと、
少し泣きそうになった。
「……俺、北斗が生きてるって、
これから治療とかリハビリ頑張って
必ずまたライブやるって、
ファンの皆に、リスナーに、ひえおじ達にも、伝えてくるから」
今日は土曜日。
俺は北斗を頼ってばかりだけど、
俺にしかできないことをやるだけだから。
「それで許してよ。北斗
んで、お前も絶対に皆のこと裏切らないって…
必ず帰ってくるって約束して。
絶対に、今度は
ぱちコキ野郎になんかならないって約束して。」
「ﾊﾊｯ ちょっと泣きそうになってんじゃん」
「お前もだろ！笑」
北斗の潤んだ瞳を見ながら、
俺は北斗の右手の小指を自分の小指と絡めた。
「いてて、
だから俺 怪我してんだって！いてぇよ！笑」
北斗は赤い顔で笑う。
ICUの扉を重苦しく感じていた数時間前の俺に言ってやりたい。
ここは俺達のリスタート地点になるぞって。
Fin
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作者名：あーちゃん
| 作成日時：2020年6月12日 16時
