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Side BLUE
フライングの演出のコンリハ中
SixTONESの松村北斗さんが落下事故に遭った。
そのニュースは瞬く間に広まった。
「樹、今日はもう帰ろう」
集中治療室__ICU__に入院し、
未だに意識を取り戻さない北斗をボーッと見つめていると、
慎太郎から声をかけられた。
みんなはいつの間にか、
衣装から普段着へと着替えていた。
俺は1人まだ衣装のままで。
ただただ、北斗の手袋を握りしめているだけで。
「北斗に、……頼ってばかりで、…
俺、……助けられなかった」
声が震えているのか、
体が震えているのか、
涙で視界が歪んでいるのか、
とにかく、頭の中がグチャグチャで、
ゆらゆらしていて、気持ち悪い。
「樹のせいじゃないよ、
腕、ちゃんと休まないと」
北斗を支えていた
弱っちい俺の細い右腕は筋を痛めたらしい。
だけどそんなことよりも、
胸が苦しくて、傷もないのに痛くて、
目を閉じると
ステージに背をぶつけて唸っていた北斗の声が、
後頭部から流れ出た真っ赤な血が、
それを真上から見下ろすことしかできなかったことが
鮮明に思い出された。
北斗が落下して暫く。
俺達は無事にステージに降ろされたというのに、
俺はまっすぐに歩けなかった。
まるで浮いているみたいに足がすくんで、
しゃがみこむしかできなくて。
『ほくと！しっかりしろ、』
『うぅ。はぁっ、……いたぃっ！』
『大丈夫、すぐ救急車くるからねっ』
『あぁ゛っ、……ﾊｧﾊｧｯ、くッ！』
周囲で声をかける高地とジェシー。
戸惑いがちに数歩下がる慎太郎。
まだ温もりの残る手袋を握る俺の背中を
きょもがかすかに擦ってくれていたように思う。
救急車が到着したときには、
もう北斗の意識はなくて、
『北斗！北斗っ、死ぬなよ ばかッ！』
俺は多分、そう叫んだ。
──────────────────
「っ、はぁっ！ﾊｧｯ､…はぁっ、」
いつの間にか、眠っていたらしい。
あんなに眠れなかったのに、
自宅のベッドで目を覚ましたら急に息が苦しくて、
途端に立ち上がり、キッチンへ向かう。
コップに水を移すのも忘れて、
水道から直接口に水を入れた。
「はぁっ、っ、ゲホッゲホッゲホッ！」
咳こみながら、ズルズルと座り込む。
そんな日が数日続いた。
北斗の病室…ICUの扉は物凄く重たく感じて、
足を運ぶたびにしんどさが増して。
「はぁ、……早く、…」
こんな地獄から抜け出したい。
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作者名：あーちゃん
| 作成日時：2020年6月12日 16時
