_____ ページ21
side BLACK
正直言って、食事に対する恐怖心は診断時と変わらなかったが、皆に心配かけたくない一心で食べるようにしてた。心の奥底では今すぐに吐き出してしまいたい衝動と常に戦っていた。
「……あのね、
北斗が人を頼るのが苦手なのも分かってる。
だけどね…演技の仕事は北斗がやりたいって言うから応援してたのに、こんなふうに周りに対して使うものじゃないよ。
せっかく努力積み重ねて得た演技力、そんなところで使っちゃ駄目だよ」
ジェシーもまた泣いていた。
「なんでも思ってること言わなくちゃ。
それが、俺が北斗にしたアドバイスだよ。
それを北斗は忘れてる。それじゃあ意味ないよ」
ハッと胸を突き刺すような視線と言葉。
「………っ、………しんどいよ、…ジェシーっ
俺、しんどくてしんどくて、仕方ないんだっ」
やっと吐き出せた思いは、とめどなく涙と共に流れていった。
＿＿＿＿＿
もう一度、病院に行き、症状を伝えた。
拒食症の逆で、過食症と言うらしい。
これらは繰り返すことが多く、まとめて摂食障害と呼ぶ。
治ったと思えば一進一退を繰り返す。
「ほくちゃん。
…不安があったら言っていいんだよ」
ジェシーに背中を押され、今までの入院生活でしんどかったこと………
例えば、揚げ物の日は本当に死にたくなるほど辛かったことなど、を伝えた。
「……みんなにも、嘘付いたりして、ごめん」
医師に話している俺をあっけにとられたように見ていた皆にも謝った。
「…でも、っ、……みんなのおかげで食べようって思えたんだよ。
…俺、たぶん、一人じゃ無理。
………だから、これから迷惑かけるけど、
一緒に…治療に付き合ってほしい。」
もうなんだか、ずっと泣きっぱなしで目が痛いな、なんて思いながら、言葉を選ぶ。
「…とっくの昔に、6人で生きていくって決めたでしょ。最初から北斗は、一人じゃなかったよ」
ジェシーがまたAHAHA！と大きな声で笑う。
皆も頷いてくれていた。
これから先、まだまだしんどいことはありそうだけど、この人たちになら、ありのままでいられそうだな。と思う。
「ありがと、みんな」
fin
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 822人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーちゃん
| 作成日時：2020年6月12日 16時
