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Side YELLOW
翌日、朝4時50分。
突然の電話で目が覚めた。
「っ、北斗！？大丈夫？」
『……こち…？ごめん。寝てた？』
「そんなの良いよ。体調は？」
辺りはまだ薄暗い。
それでも、北斗の声を聞くと安心した。
『……っ、俺、……髪、剃るんだって。
頭に…傷が入るって』
北斗がどこまで聞いたのかは分からない。
もちろん病名は聞いたろうし、手術をすることも聞いたと思う。
だけど。
話さないでほしいとお願いしたリスクについて、
俺が想像していたものと北斗の想像していたものは違った。
『手術、しなきゃいけないって…わかってる。
でも、……こーち…っ、助けて。』
俺の想像力のなさを噛み締めながら病院に向かった。
朝が早いとかそんなことは考えてなかった。
「俺が責任持つから！お願い、」
『…っ、何かっこつけてんだよ！』
今にも泣き出しそうな樹の声。
皆、誰一人として、早朝の電話に文句は言ってこなかった。
「高地！」
救急の入り口で待っていると、大我に声をかけられる。
みんな、北斗のために集まってくれたのだ。
「…あ、あの、俺達……」
「まだ面会時間前です」
当然か。
警備員のおじいさんには入れてもらえない。
「……本当に来たんですね。」
その代わり、夜勤明けの看護師さんがやってきた。昨日、お世話になった人だった。
「…あ、はい…」
特別ですから。と、案内してくれることに。
「っ、北斗、ごめんな。昨日来れなくて」
ジェシーが声をかける。
「……なんで、こんな、時間に…」
北斗はじんわり涙を浮かべていた。
「助けてって言ったのお前じゃん」
「…高地が責任取るんだって。滝沢くんに怒られるの楽しみだね」
「おい、楽しむなよ。笑」
慎太郎が笑うと、みんなも少し笑う。
北斗も驚いたみたいだったけど、少し穏やかな表情に変わった。
「…北斗、良かった。手術、頑張ろう。
俺、お前が死んじゃうんじゃないかと思って…」
樹がぽろりと涙を流して北斗の右手を握った。
「……アイドル生命は絶たれるよ。
…頭に、傷が……髪も剃るって」
北斗は絶望したような、色のない目をして、天井を見上げた。
「…北斗、そんなことで俺達は変わらないよ」
「そんなこと！？何言ってんの」
興奮したからか、顔を歪める北斗。
落ち着いて。と大我が宥める。
「………っ、…生きろ！死ぬかもしれないんだぞ。
仕事のことはそれからだっていいだろ」
俺はなるべく小声にとどめてそう叫んだ。
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作者名：あーちゃん
| 作成日時：2020年6月12日 16時
