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side BLACK
「おえぇっ！…ﾊｧｯﾊｧｯ……ん、っ、んん゛」
激しい腹痛と下痢。
その上、吐き気までしているから、便器に座ったままでリビングから持ってきたゴミ箱に吐き続けた。
こんなに一気に食べたのは久々…いやむしろここまで食べたのは初めてかもしれない。
拒食症で小さくなった胃にとっては腹15分目ぐらいに感じた。
「ﾊｧｯ……ﾊｧｯ……ん、ーーーっ！」
どうしていいのかわからず、ただただ泣きながら唸っていた。
さっきの俺はなんだったんだろう。
食べたくて食べたくて仕方なかった。
自分の意志では食欲を止められなかった。
「ﾊｧｯﾊｧｯ……っ、ジェシー……？」
グシャグシャな顔のままでスマホを開く。
そこには『退院祝いに買い物行こう』と入っていた。
さすがショートスリーパーなジェシー。
こんな時間に起きてるなんて。
「……ジェシー？……ﾊｧｯ……はぁ、助けて……」
すがる思いで電話をかけた。
正直パニックになりすぎて会話の内容は覚えてない。
「北斗、大丈夫？
…っ、……遅くなっちゃったね、ごめんね」
いつの間にか目の前に現れた人。
「…ジェシー………も、おれ、だめだ…ｸﾞｽﾞｯ…」
お姫様抱っこで寝室に連れて行かれて、俺はただただ泣くことしかできなかった。
「ほくちゃん、お茶飲もうか。」
コップを渡されて少しだけ落ち着いてきたことに気付く。
どうやって部屋のドアを開けたのか聞くと、管理人さんが開けてくれたらしい。そして部屋の片付けまでやってくれていたと知る。
他人に迷惑をかけた。
また一つ、胃がひっくり返りそうな感覚がした。
「…どうして、あんなに食べようと思ったの？」
今まで何も触れてこなかったジェシーが、確信に迫る質問をしてきた。逃げられないと思った。
俺はYouTubeのコメント欄を見せながら説明をした。
「……俺、ほんとに…ごめんね、弱くて…
せっかく退院したのに……」
「…うん、もう治ったのかなって思ってた。
退院していいって言われたってことは、きちんと食事に向き合えてるんだと思って…
俺達も無意識にこういう言葉かけてたかもしれないね。辛かったよね北斗…」
優しく抱きしめてくれるジェシー。
言葉を選んでくれているのがすごく伝わっていた。
「ほくちゃんっ、………もっと、話してよ。
こんなになるまで、気付けなかった…ごめんっ」
またジェシーにこんな顔をさせてしまった。
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作者名：あーちゃん
| 作成日時：2020年6月12日 16時
