Diamond in the “Laugh”【1】 (ページ19)

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side BLACK

「ううん、少しだけ疲れちゃっただけ。」

そういうと、京本は少し難しそうな顔をした。

「でも、皆といたほうがリフレッシュできて楽しいからだよ」

慌てて補足するように答えると、「北斗かわいいな！」なんて隣で聞き耳を立てていた樹も破顔していた。

「…北斗、少し体重増えたんじゃない？」

慎太郎がニコニコと聞いてきた。
きっと、それを嬉しく思ってくれているだろう。

「少しだけね。
でもまだ、脂っこいものとかは抵抗があって」

昨日出されたアジのフライを思い出す。
白身の魚だから大したことないとわかっていても“揚げ物”だと思うと途端に気が引けて、数ミリかじっただけで吐いてしまった。…とは言えなかったけど。

「少しだけでも良いんだよ。ほくちゃんが食べようと思った量を食べて、それを少しずつ増やせるようになろうね」

微笑むジェシーの言葉に頷いた。

この空気感が心地よい。
俺がご飯を食べたと言えば、皆、喜んでくれるんだ…

「…通院に切り替えましょう。」

それから大して経ってなかったが医師からそう提案があった。人見知りの俺にとって知らない人が多い病院のほうがストレスが溜まっていたこともあり、許可が出たことですぐに退院を決めた。
みんなも心配はしていたけど、それを分かってくれていたから止めなかった。

＿＿＿北斗くん顔色よくなって安心！ピークより顔もふっくらしたよね！ドラマも終わったし、どんどん食べてね！

数日後、アップされた映像についていたコメント。

………そうか、もう痩せなくていいんだ。

開きかけていた扉が開かれたような感覚だった。
それは今までずっと開けたくなくて仕方なかったはずの扉。

寝ようと思って寝室にいたのに気付けばリビングに…いや、キッチンに向かって電気をつけるより先に冷蔵庫を開けた。

母さんが置いていってくれた肉じゃがや、野菜炒めのタッパーを容赦なく空にしていく。

もうその行動を止めることはできなくて、少し前に酒のつまみにしていたはずのチーズや魚肉ソーセージなんかも端から端まで食べ尽くす。

しまいには冷凍庫を開けてアイス棒を何本も何本も口に入れた。

「うっ、、……はぁっ、ん、」

下腹部に痛みを感じて顔が歪む。
手を当てると固くパンパンに膨れ上がっているお腹。

＿＿＿＿＿あれ？……おれなにしてた？

目の前には空のタッパーやアイスの袋。

自体を察知するより先に、吐き気と下しそうな痛みがやってきた。