Diamond in the “Laugh”【1】 (ページ17)

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side BLACK

もう、ラストなのか。
楽しむことをせず、一回一回倒れないようにとりあえずやり切ることだけを目標にこなしていたから、気が付けばツアーもオーラス直前。

「ジェシー、」

廊下でハーブティーを入れていた彼に声をかけた。いつもだったら何かふざけた冗談を言ってきそうなところだけど、ジェシーは優しい顔で振り返ってくれた。

「……ケータリング、付き合ってくれない？」

「…Hehe？笑
いいけど、いきなりみんなと同じもの食べたらお腹がびっくりしちゃうんじゃない？」

「……お粥は毎日食べてるから大丈夫だよ」

病院の先生に指導してもらいながら、元々好きだったお粥は口に出来るようになってきていた。
それでもその後吐きそうになることもあるけど、1日2食ぐらいだったら、大丈夫。

それぐらい、改善したつもりでいた。
俺自身が一番、そう信じたかった。

「…そっか、じゃあ何か消化に良いものね」

結果は味噌汁と漬け物、サラダ、それからご飯に海苔の佃煮を乗っけて食べた。もちろん少量ずつだけど。

「凄いじゃん北斗！」

皆から褒めてくれる。
その快感に口元が緩んだ。

「……て、点滴、終わるまで医務室で寝てるね」

暫く各々過ごしていると気分が悪くなってきた。
何故だろう。ご飯が食べれて嬉しかったはずなのに。

「はぁ、…っ、」

冷や汗をかきながら、医師のもとへ。

「食事を取れたのは良かったです。
もしも気分が悪くなったら、これ使っていいですからね」

医師はゴミ箱を近くにおいてくれた。

……食事を取れたのは良いこと。メンバーもあんなに笑ってた。きっとこれで、ファンのみんなにも認めてもらえるはず。
そんなことをグルグル考えているうちに、眠りに誘われた。

＿＿＿＿＿

「北斗、今日も頑張ったな。きっと大丈夫」

緊張気味の俺に高地が声をかけてくれた。
昔みたいな、お兄ちゃんの顔にすごく安心した。
そう。あれから今日…つまり、オーラスの日までの4日間、何とか皆と一緒にならご飯が食べれるようになった。
ライブもいつもより楽しくなった気がした。

きっとこのまま、快方に向かうはず。
そう信じて疑わなかった。

「うぇーい！お疲れ様北斗！！！」

オーラスのトリプルアンコールを終えて舞台裏に戻るとジェシーが肩を抱いてくれた。

「はぁっ、…はぁ、ジェシー、お疲れ様」

ハイになってはいるせいか、いつもより息が上がっている自分に焦る。