__ ページ13
side GREEN
「何がしんどい？
体ふこう。シャワーは明日にしようか」
入浴自体は問題ないけど、カテーテルの保護が必要だったりで手間がかかるし、何より今はフラフラしてて危なっかしいし。
「貧血なのか…目眩がして、…苦しい…はぁ…
……ちょっと気持ち悪い」
少し震えながら服を脱いでいる。
背中まで濡れタオルで拭いてやって、もう色々とされるがままの北斗。
吐いても良いようにゴミ箱を手繰り寄せたり色々してたら、そのまま寝てしまったみたい。
少し微熱があるのも心配だし、どうしたことか…
「俺も手慣れたな……」
前はびびって高地と一緒に確認しながらわーきゃーやってたけど、今は自動透析の機械…ダイアライザーの扱いにも迷ったりしない。
無防備に寝てくれてるから信用されてるんだなって思うけど、今後もし体調悪いときに家で一人だったら…今日俺が来てなかったら……と思うと少しゾッとした。
夜中何度か目覚めて、嘔吐があった。
大分なれては来たようだけど、透析中はお腹が張るようななんとも言えない感覚があるらしく、そのせいもあると思う。
ご飯も食べれてなかったし、喋る元気もなさそうだったけど、とっても不安そうで、こっちまで苦しくなる。
なるべく早くに病院に向かうことに。
「尿に違和感はあった？」
点滴をしてもらいながら、
いつもお世話になっている先生に尋ねられて少し視線をそらしながら頷く北斗。
尿検査の結果、尿毒症の症状と貧血が以前より強く出ていることが分かった。
要するに病気の悪化が今回の長引いていた不調の原因。
「…前にも説明したけど、PDファーストで治療してきたけど、血液透析も視野に入れないといけないかもしれないね」
「っ、でも、仕事が、！」
北斗は辛そうに顔を歪めた。
人工透析には腹膜透析(PD)と血液透析(HD)との二種類があって、北斗は今はPDの段階。
本当は病状的にHDを薦められていたが、単純に血液透析は週3回通院1回4時間の拘束が必要になるから選択できなかったんだ。
いずれは併用療法も必要になるかもしれないと言われていたが、残腎機能を保つためにも、PD治療を優先するというのがPDファースト。
「そう思うのなら、無理しちゃダメじゃんか」
年下の俺が言うと北斗は嫌がるかもしれないけど、ここ最近の北斗見てたら、今回の結果は仕方ないように思った。
「もっと頼ってよ、北斗…
違和感あったなら、どうしてもっと早く言ってくんないの…俺、そんな頼りないの？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 822人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーちゃん
| 作成日時：2020年6月12日 16時
