Track 1【補助人工心臓】 ページ1
side BLUE
17歳の時。
人生最大の「やっちまった。」
そんな出来事があった。
当時はいわゆる“ヤンキー”で、ピンクの髪の毛にピアスも何個も付けてた。
もちろん、高校なんて行ってなかった。
そんな中で俺は、正直、本気(マジ)ではなかった女を妊娠させた。
だけど、不思議と嬉しさが勝った。
洋装を変えてから行きゃまた話は変わったのかもしれないが、当時はバカだから気付かず、彼女の両親に「産ませてください」と頼みに行った。
「まずは髪を黒くして謝れ」
当然、そんなことを言われて、「おろせ」とも言われた。
結局は駆け落ちまがいの形になった。
北斗が生まれてからも、彼女の両親とはうまく行かなかった。俺自身が、というより、彼女自身も元々両親とうまくいってなかったから。
俺は不思議と北斗が生まれて自分自身も生まれ変わった。
すべてのことを北斗のために費やした。
自分の身だしなみやタバコに使っていたお金は北斗の生活のために使い、この辺で1番時給の高かった配達業者で配達員として働いた。
だけど、幼い俺達は暮らしていくのもやっとで、うちの両親は北斗のことも援助してくれたものの、先に彼女が壊れた。
彼女は自分が一番可愛くて、北斗のために。なんて考えが無かったから、育児も放棄して帰ってこなくなったのだ。
彼女の面倒までは見きれない。それが本音だった。
そんな中で北斗を彼女に渡すわけにも行かず、北斗が1歳の誕生日を迎えるときには、俺と彼女の関係もうまくいかなくなり、俺が北斗を一人で育てることにした。
そこからは「やっちまった。」だなんて、思ってない。
「北斗、生まれてきてくれてありがとう」
毎日そう言って、眠るまんまるほっぺにキスをした。
だけど、北斗が5歳のとき。
突然呼吸困難を起こしたと保育園の先生から連絡があり、救急車で運ばれたと言われて、慌てて病院に行った。
「………拡張型心筋症…？」
口ではそう言ったもの、頭の中では漢字も書けてなかったと思う。
「心臓移植が必要ですが、このまま放置しておくと、おそらく移植まで持ちません。」
森本先生の言い草はとても優しかったけど、内容は残酷なもので。
「………北斗、死ぬんですか…」
「すぐに入院が必要です」
どうしていいか分からなかった。
あの時、やっちまった。だなんて思った俺が悪いんだと思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 930人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーちゃん(プロフ) - 燐さん» はじめまして。コメントありがとうございます！調べながらの浅はかな知識で、失礼がないか冷や冷やしていたので、そう言っていただけて少し安心しました（ ; ; ）こちらこそ、今後もよろしくお願いします！ (2020年5月18日 9時) (
レス) id: 2a9750e174 (このIDを非表示/違反報告)
燐(プロフ) - はじめまして。ナルコレプシーを患ってる者です。この病気を題材にしていただきありがとうございました。すごく共感して読むことができました。これからも楽しみにしています。 (2020年5月18日 1時) (レス) id: 89ee0a6eb4 (このIDを非表示/違反報告)
Reiyu(プロフ) - あーちゃんさん» あ、合ってたみたいですね……ε-(´∀｀;)ﾎｯ 良かったです。誤字なんか全然ある事ですので全然大丈夫ですよ！！これからも楽しみにしてます！！ (2020年4月26日 17時) (レス) id: c35ca9cb0a (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - Reiyuさん» ご愛読ありがとうございます！お恥ずかしい…完全なる誤字で、失礼しました！(T_T)ごめんなさい。ご指摘ありがとうございます！今後とも宜しくお願いします(^^) (2020年4月26日 17時) (レス) id: 2a9750e174 (このIDを非表示/違反報告)
Reiyu(プロフ) - 新作2つもおめでとうございます！今回のも楽しく読ませて頂きます。差し支えなければ1つ質問なのですが、題名が、TrackがTarckになっていたので……。敢えてそういう題名だったのなら本当に申し訳ないです。ただ少し気になったので質問させて頂きました。 (2020年4月26日 16時) (レス) id: c35ca9cb0a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーちゃん
| 作成日時：2020年4月26日 13時
