君との距離を《リク》 ページ4
Side BLACK
____pipipi
朝だ。分かっている。だって、スマホのアラームが鳴っているから。
「はぁっ、…っ、」
体を起こそうとしたものの、きっと数ミリだってベッドから俺の体は離れてないんだろう。
それでも、ぐっと力を入れていた腕を緩めると、くらっと視界が回った。
元々、起きたら右側を下にしていることが多いが、今日も例外ではなかった。
震える左手で乱暴にマスクを引っ張り、顎にかけた。
そうしないと、早い鼓動に合わせた呼吸が苦しかったから。
「はぁっ、はぁっはぁ…」
気持ち悪い。
頭の中心がぐらぐらと揺れていて、目の前がチカチカしてる。
あー、今日は相当ひどい。そう思うのに時間はかからなかった。
どうしよう。今日は京本の舞台を見に行く約束をしている。
早く起き上がらなければ、乗る予定だった電車に間に合わない。
舞台の上演中に途中から入るのなんて失礼極まりないし、変に目立ってもいけない。
京本主演だから特に。客席に俺がいると、きっとざわつかせてしまう。
「んっ…はぁ、…」
ドサッと横に向けていた体を仰向けにして、右腕で目元を覆う。
仕方ない。一旦、アラームのスヌーズがなる十分後までこのままでいよう。
「っ、んだよ…しんどぃ…ハァハァ」
もうスヌーズに何回起こされてんだろうか。
でも。
今回の舞台だけは、行きたかった。
【大我の舞台見に行けばいいのに。
少なくとも、北斗、ドラマとかのスケジュール被ってないんだよね?】
あのスタッフさんの言葉が妙に引っかかってしまっていたから。
いや、きっと、本当は仲良しなんだろ?っていうイジリなんだろうけど、
俺にとっては、“病気にかまけて、ないがしろにしてんだろ”って言われてるみたいだった。
確かに、せっかく他のメンバーが誘ってくれてたのに体調のせいで行けないことが続いてて、
だから、今回こそは一歩踏み出そうって決めてた。
なのにこの仕打ち。
最近は、割と病気のことを受け入れて、上手く付き合えていたように思うけど、
体がしんどいのもあって、結構ダメージ。
“今回、北斗も結構すきな内容だと思うんだよね”
根拠が何かは知らないが、京本もそんなことを言っていたのを思い出し、
より一層行きたい気持ちが高まるが、まったく体が動かない。
「っ、」
動悸につられて過呼吸を起こさないように自分で正常な呼吸を意識する。
これもまた結構しんどくて、ひたすら“落ち着け”と心で繰り返した。
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H.M. - あーちゃんさん» ありがとうございます。年齢設定がしてあるようで表示されませんでした。【夢の中で】は読めないようなので【Rollin'シリーズ】のほうを楽しみにしていたいと思います。お手数おかけいたしました。 (2020年3月3日 11時) (レス) id: 419573d787 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - H.M.さん» 拍子ではなく、表示でした。失礼しました。よろしくお願いします。 (2020年3月3日 9時) (レス) id: 2a9750e174 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - H.M.さん» ←「あーちゃん」を開いて頂くと、私の作者ページに飛ぶと思います。そちらで拍子できない場合は、18歳以上の年齢設定をしてないと思われます。申し訳ございませんが、これ以上のお答えは出来かねますので、ご容赦ください。ありがとうございます。 (2020年3月3日 9時) (レス) id: 2a9750e174 (このIDを非表示/違反報告)
H.M. - 【夢の中で】をどうすれば読めるでしょうか?よくわからなくて… (2020年3月3日 8時) (レス) id: 419573d787 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - y_さん» いつもご愛読、コメントありがとうございます( ; ; )またお楽しみいただけるよう頑張ります! (2020年3月2日 22時) (レス) id: 2a9750e174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーちゃん | 作成日時:2020年2月7日 16時