よりどころ《リク》 ページ37
Side BLACK
一人での雑誌の撮影がある。立ち上がれ、早く。
頭のどこかから、あの映画のセリフが聞こえてくる。
「ッ…はぁ…ゴホゴホッ！」
体が睡眠を求めているが、気合を入れて吸入器に手を伸ばす。
「はぁ……よし。」
言葉とは裏腹に、体は動かず、ベッドに腰かけたまま、目元をぐっと抑えて、
ちかちかする感覚と、痛む頭に悪寒に耐える。
10分ぐらいするとようやく眩暈が落ち着いて、立ち上がる。
「やばいな、時間…」
薬を飲まなければ。しかし食事をする気にはならず、とりあえず顔を洗い、着替える。
「おはようございます。…体調わるいですか？」
迎えの車に乗り込むと、マネージャーさんに尋ねられた。
「いや、まだ寝起きでボーとしてるだけ。ちょっと寝坊してさ」
働かない頭をまぁ、なんと見苦しい言い訳に済ませたことか。
自分でもおかしくて笑ってしまう。
冷蔵庫から取り出してきたプリンを食べながら現場に向かう。
俺は以外にも食欲はなくとも甘いものは食べれる。
最近はいつもこれで薬を流し込んでいると言っても過言ではない。
さりげなく隠れて体温を測ってみれば、37℃後半。
この少し寒いのはまだ上がるとみているが、なによりも今は眠気が辛い。
ここ最近、喘息の発作が続いていて、寝苦しい朝晩。
「北斗さん。着きました。」
だからと言って、寝れるわけでもないのが不思議だ。
「ん。分かってる。」
目を閉じていただけ。それなのに、座席のシートに埋まったかのように、そこから動けない。
「やっぱり、体調悪いんでしょ…北斗さん。
今日、撮影の後は、皆さんでPV撮影もありますよ…あまり無理したら…」
「大丈夫だってば。ありがとう。」
マネージャーさんの言葉を遮るようにして、車を降りる。
気の利く彼は、入り口に止めてくれたから、俺だけ先に現場に入り、彼は駐車しに行く。
「…っ、」
一人になると気が緩んでしまい、少し足がもたついた。
咄嗟に廊下の壁に手をついたけど、なかなか今日は厳しい戦いだ。
「すごい…っ…めっちゃきれいですね」
ジュエリーショップでの撮影。クリスマスデートのシチュエーション。
きらきらと光るジュエリーに目がくらむ。…例えではなく、本当の意味で。
インタビューに答えながら、こんなに働いてない頭でよく饒舌に話すもんだと感心する。
まぁ、体調の良い日だったらもっと喋れているんだろうなとも思うけど。
スタッフさんに俺の体調不良を問う人はいなかった。
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あーちゃん(プロフ) - しおの磁石さん» コメントありがとうございます！また機会があれば、ですが、その時はまたご愛読いただけたらと思います！今後もよろしくお願いします！ (2019年11月26日 15時) (
レス) id: 3192e0410d (このIDを非表示/違反報告)
しおの磁石(プロフ) - 夢の中で、すごく好きです！もっともっと読みたいなと思いました！更新待っています！応援しています！ (2019年11月26日 12時) (レス) id: 003f63ad03 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 結月さん» ありがとうございます！今回は赤くんだけでしたが、今後は他のメンバーの心情も書けるといいなぁと思います、、機会があれば、の話ですが（笑）今後もよろしくお願いします！ (2019年11月26日 7時) (レス) id: fc9b1a9ec8 (このIDを非表示/違反報告)
結月(プロフ) - 夢の中で、すごく好きです！また読んでみたいです。更新頑張ってください応援してます！ (2019年11月26日 0時) (レス) id: c699b36789 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 夏ANAさん» コメントありがとうございます！ほくちゃん呼びをあんなにナチュラルにできるのは彼だけです（笑）応援嬉しいです！また覗きに来てください！ (2019年11月25日 23時) (レス) id: fc9b1a9ec8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あーちゃん
| 作成日時：2019年11月8日 10時
