Rollin'【番外編10】

だけど、今。《リク》 ページ8

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ご無沙汰しております。
リアル設定のリクエストでしたが、
こちらで更新させていただきます。

今回はコロナ禍設定ではありません。
ご了承ください。


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Side PINK



「ほくと〜…北斗、起きて。スタンバイだよ」


慎太郎が少し体を揺らすと、北斗はもぞもぞ動き始めた。

……顔色よくないなぁ。



「…しんどい？大丈夫？」

「このぐらい、平気だよ」

樹にそう答えると、
北斗はソファーからゆっくりと起き上がった。



そのセリフ、ここ1、2ヶ月で何回聞いたかな。



アルバム、ライブ、ドラマ、映画の番宣、
年末年始の特番に、レギュラーの雑誌出演や
ソロ表紙、単独インタビュー、
そして次のシングルの準備、
到底、常人がこなせる量じゃない。



「……しんどくなったらすぐ言えよ」

高地が声をかけると、北斗は眉間にしわを寄せて、困ったように目をそらした。



「…北斗。大丈夫か」

「へっ？あぁ、…うん」

樹の問いかけにハッとした表情で資料を捲る北斗。
いつもはアイデアマンの北斗なのに…
コンサートの打ち合わせ中、うわの空。


どんなに忙しくても、仕事となると
目をバッキバキにさせてやり遂げる北斗だから、
少しの違和感を感じつつ。



「…じゃあ、トイレ休憩して。
10分後から動きますか」

机上の確認が終わり、スタッフさんの掛け声で一旦ミーティングは一区切り。



一斉に皆が立ち上がる。


「っ、」


「北斗！！」


視界の端にふわり、と気配を感じる。

ｶﾞｯｼｬﾝ！と大きな音が鳴って、
そのあと、一瞬だけ、シーンとした時間がやってきて。


「……ほ、北斗っ！大丈夫かっ」


幾度となく見てきた
北斗が床に倒れ込んでいる姿。
一番近くにいた慎太郎がうつ伏せの背中に触れる。


大きな音の正体は、椅子が倒れた音だった。


「北斗、体動かすよ！ごめんね」

「はぁっ、はぁ！……はぁっ、ぅ、ぁ…」


唸り声をあげる北斗。
慎太郎と体を仰向けにすると、
北斗は真っ青な顔で目をギュッと閉じ、
苦しそうに胸を抑えていた。


「…北斗、分かる？
話せなくても大丈夫だから手を握って」

「ぁ、……ﾊｧｯ、…どくどく、して…はぁっ」


胸に当てていた手を握りこむと、
北斗は弱々しく握りかえしてくる。
微かに聞こえる声も、周りがシーンとしてしまっているからで。

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