Rollin'【番外編10】

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Side PINK


「北斗、着替える？」

「もぅ、……うごけな……ぃ、」


横たわったまま布団に包まる北斗。
幾分、顔も細くげっそりしてしまったように思う。


「マスク、苦しいだろうから外しちゃいな？」


素直に言うことを聞いた北斗にゴミ箱を見せてそこに入れてもらい、中身がいっぱいだったことに気づく。
最近この家に近寄ってなかったからな……
むやみやたらと家に上がり込むのは良くないからと思っていたけど、そのおかげで彼の体調の変化に気付くのも遅れた。
YouTubeや雑誌の撮影だってディスタンスを保っているから。


新しい袋をかけて、「吐いてもいいからね」と告げるとコクリと頷いた。


軽く掃除をしたほうがいい気もしたけど、
とりあえずは動けないだろうからひとまず窓を開けて換気をする。


「ん、……用意周到だね、…ｹﾎｯｹﾎｯ、」

「黒田先生からのご指示だよ、笑」


北斗に除菌ウエットティッシュを渡して、
頭を上げてやり、下に氷枕を敷く。



「寒くない？」

「へーき…でも、やっぱり着替える」

「それがいいよ」



動けない、と言っていた割には
ひとりでに歩きだして、
洗面所に向かい、顔を洗って、うがいをして
下着まで着替えた北斗。


「はぁっ、……ん、疲れた……」

「仕上げ、忘れてる」

「っ、…つめた、」


冷えぴたを貼ってやると、
小言を言いながら、今度こそ眠りについた。


赤い目に思わず、
俺も泣きそうになった。


安堵って、こういう気持ちなのか。
何度も経験して、また緊迫がやってくると忘れてしまうけど。


安らかに眠れる時間が、長くあってほしいと
そう願わざるを得なかった。



「……早く良くなってくれないと、
俺達の心臓が持たないだろ」


ピコンピコンと鳴り響くグループトークに笑いながら、眠る彼に呼びかけた。


Fin

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