Rollin'【番外編10】

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Side YELLOW


「…えっ、北斗？！」

そろそろ落ち着く頃かと思って、車まで迎えに行こうとすると、建物内に入ってすぐのところでふらふらして歩く北斗を見つけた。



「……はぁっ、…ﾊｧｯ、……っ、」

「ちょ、吐く！？」


ぐちゃぐちゃの顔して座り込みながら口を押さえてる。


「トイレ行こう！」

「…む、り、……はぁっ、」

「え〜〜とっ、揺れるよ！」

袋！と思ってもそんな簡単に手元にあるものじゃないし、数歩先に見えたトイレまで動けそうもない北斗をおぶって連れて行った。


火事場の馬鹿力だ。


「うぅ、…おえっ、ゲホッゲホッ！……はぁっ、」

「…大丈夫か、ゆっくり落ち着いて深呼吸して」


可哀想だけど個室内まで入って背中をさする。
泣いた跡にさらに生理的な涙が伝っている。


「…もうむり、しんどい、頭痛い、つらい、やだ、気持ち悪い」

「……マネージャーは？」

「なんか、……電話してたから、…」


だから一人でトイレに行こうとした、と。

さっき、気分が悪い、と言った時点でエチケット袋を渡しておけばよかった。
……これは、俺の落ち度。



「…北斗、……今日はもう無理だよ？病院いこ。」

「……やだぁ、」

「やだじゃないの。自分でも分かってるでしょ」

「……ううぅ、こーちのバカ！」


ぼすっ、と拳が飛んでくる。
何この5歳児が歯医者に行くの渋ってるみたいな会話。

そりゃ俺だって、無理矢理連れて行きたくはないけど、貧血や脱水症状は喘息と違って、手元の薬でコントロールできるもんじゃないし。
この情緒不安定さも自律神経の乱れから来るものだろうし。


「……もぅ、、…なんで…、泣いてないから」


いや、それは泣いてないとは言わないだろ。と突っ込む間もなく、グスグス鼻を鳴らしながら泣いている北斗。
真っ赤に腫らした目が痛々しい。


「しんどいときは泣いていいから。もっと甘えろよ。
お前が無理して怒るやつが居ても、休むって言って怒るやつ居ねぇよ」

「…っ、」


SixTONESはそういう奴らなんだから。





「…こぉち、……」

「北斗！！」

あのまま意識を手放すように眠りに落ちてしまった北斗を運び出すのは至難の業で、何よりも声をかけても目覚めなくて肝が冷えた。


「あんま心配かけんなよ」

「ん、…ごめ、」


点滴に繋がれて数時間後ようやく目を覚ますと、
言葉だけは謝っているが少しだけ嬉し気な北斗。
この笑顔に俺達は弱い。


Fin

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