ごめんなさい〈松野千冬〉 ページ6
私達はあまり喧嘩というものをしない。
っていうか
一方的に私がキレて、千冬が謝るっていうパターンが多い。
･
｢日向〜ぁぁどうしよ、また千冬に一方的に怒っちゃったし思いっきり腹パンしちゃった…。｣
日『あらら、これまた激しいね。何が原因なの？』
｢それが…覚えてないんだよねぇ、ほんっとにどーでもいい事なんだわ、多分。｣
日『どうりで今日の松野君機嫌悪いんだね…』
同じクラスの彼をちらりと横目で見てみると、
だいぶ不貞腐れた表情で窓の外を眺めていた。
｢やっぱ怒ってるよね〜、圧倒的に私が悪いし…｣
日『これは…今日中にAちゃんから謝る事だねえ』
｢デスヨネー｣
･
放課後
用事がない限り帰りはいつも一緒の私達。
昇降口で私を待ちはしていたものの 案の定、彼は無言である
重い沈黙の中、いつもの解散地点が近づいてくる。
心做しか彼の歩くスピードはいつもより早くなっている。
いや、
いつも私のスピードに合わせてくれてるんだ……
早く謝らなきゃ、と思う度口が思ったように動かない。
…どうしよう
｢まっ…て｣
千『…』
やっとの思いで声を出してみたが彼からの応答は無い
このままお別れする事になったらどうしようとか余計な心配だけが黒く渦巻いていく
要らぬことを考えたせいか、少し前にいる彼の後ろ姿が段々と滲んでぼやける。
すると
ピタリと、彼の足が止まった。
そしてズンズンと私の目の前へ歩いてくる
｢ちふ…ゆ、？｣
彼は はぁ… と小さく溜息をつくと
千『…ごめんなさいは？』
今朝の様子からは全く想像もつかないくらい 甘く優しい声で
そう尋ね、少し困った様に、でも真っ直ぐに私を見つめる。
｢ｯ…！｣
あまりにも優しい顔をした彼に
思わず胸がキュっと締め付けられる。
｢ごめんなさいｯ…｣
少し震えるけれど、それでも彼の耳に届くように精一杯声を張る。
すると彼は
千『やっと言ったな？もう怒ってないからおいで』
そう言ってくすりと笑い、大きく手を広げた。
私の為に広げられた胸元に飛び込み、溢れてくる想いを沢山込め きつく抱き締める。
｢うぅ、ちふゆ〜いっぱい当たってごめんね、｣
千『もういいよ、俺の方こそ気付いてやれねぇ事だってあったし。な！』
向日葵のようにニカッと笑う彼は多分、私の心を一生掴んだままなんだろう。
｢だいすき｣
千『俺も！』
(若干ホリミヤパロ？)
終わり←･
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作成日時：2021年10月3日 9時
