「終わりを君に、捧げたい」/ 今大路峻 ページ29
＊
―キスなんて、奪うもんだと思っていた。
『今から会えない？』
仕事終わり、LIMEに届いていた１通のメッセージ。
こいつ、そう言えばこの間、バーで声掛けてきた女。
時間を持て余していた俺は、『了解』とだけ返事をし、自分の居場所を伝える。
.
.
「仕事終わり？」
峻「ああ」
「ねえ、何の仕事してるの？」
峻「ただの会社員。つーか、そんなこと聞くために俺を呼び出したわけじゃねーだろ。」
ホテルの一室。
女の一人や二人、落とすことなんて容易いことでこうして何の意味も感情もなく日々を持て余している。
幸福感などといった感情など一切介さない。
「しゅーん、」
女の甘い声が漏れる。
顔が近づきキスされる、その瞬間、俺は冷静だった。
.
A『――峻さん！』
.
峻「っ…ッ、」
とっさに女の口を手で塞ぐ。
峻「――今日はこっちの気分。」
そう言って、女の素肌に手を滑らせ触れていく。
「キス、してくれないんだ？まあ、峻がこっちがいいならいいけど…」
峻「ああ。それと。今日は、声、我慢しろ」
なぜか、脳裏にあいつの声が過ぎって。
他の女の声を耳に入れたくなかった。
.
A『バッカみたい。峻さんみたいなスケコマシ、好きになっちゃった、なんて…、』
.
任務だったはず。成功だったはず。
それなのに、どうしてこんなにむしゃくしゃするのか。
どうしても、この気持ちを認めるのが嫌で、でも、どこかで気付いてしまっていた。
峻「…っ、。
「え？」
峻「気が変わった。」
ジャケットを羽織り、女の方に背を向け、振り向くこともせず部屋を出た。
.
寒空の下、スマホを取り出し、アドレス帳を漁る。
峻「A、今から俺の家来い。拒否権は無しだ。」
もう、俺の負けだ。
A「…え？」
峻「お前に、話がある。ああ、大事な話だ。」
馬鹿で、阿保で、お節介で、意地っ張りで、
それでも、何事にも一生懸命で、本気で。
そんなAを、俺は…
峻「――。」
A「峻、さん…のバカ…。」
大事で、大事で、仕方がないから、
今まで簡単に奪ってきたキスですら慎重になって、
峻「うるせ。」
だけど、優しく、そっと、
その唇に、自分のを重ねた。
fin.
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水無月のぞみ - ヒロインの名前が、たまに『玲』になってるから直して下さい。変えられないと夢小説じゃないからね。 (2022年3月14日 5時) (
レス) id: 90a3a483bc (このIDを非表示/違反報告)
鮎川あぐり(プロフ) - アニメLOVEさん» こんにちは。かしこまりました♪ (2020年9月27日 17時) (レス) id: 0e01340885 (このIDを非表示/違反報告)
アニメLOVE(プロフ) - リクエストで、槙くんと子育てお願いします。子供は二人で (2020年9月27日 10時) (レス) id: 5ecae8dc9e (このIDを非表示/違反報告)
鮎川あぐり(プロフ) - アニメLOVEさん» 槙くん、かしこまりました♪ (2020年9月19日 9時) (レス) id: 0e01340885 (このIDを非表示/違反報告)
アニメLOVE(プロフ) - リクエストで、槙くんとラブラブしてほしいです！出来たらでいいのでよろしくお願いします (2020年9月19日 2時) (レス) id: 5ecae8dc9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鮎川あぐり x他1人 | 作成日時：2020年5月12日 2時
