被験体036の多難な学校生活

MISSION：6 ページ7

「次の方、ブレイブ様」


名前を呼ばれて席をたつ。
これから面接、下手なことは言うなと釘を刺された。

そんなミスする訳ないのに。


「失礼します」



「ではまず、ご両親への質問から始めさせていただきます。お父様は、研究職と聞いていますが、奥様とはどこで知り合ったのでしょうか」



知り合うも何も結婚すらしてないと思うけど、この二人。
そんな細かいところまで設定つめてんのかなぁ



「妻とは、職場で知り合いました。
妻の部署とは違いますが、合同研究をすることになりまして。協力して仕事をする内に、話しやすいと感じましたし、趣味もあっていて･･･」



ペラペラと口から出まかせを言っていく。
よくこんな心にもないことを言えるなぁ･･･

任務のためだけの関係。父様だって、こんなめんどくさい損な役回りいやに決まってる。



そもそもなんでこんな任務が…
情報収集なら僕よりも適任がいたと思うんだけど

どっちかって言えば、戦闘の方が得意だし。
短期間で終わって楽だしね


「では、ご両親から見て、お子様はどんな子ですか？
長所と短所をお教えください。」


「この子の長所は、冷静に、客観的に考えられるところでしょうか。よく、子供らしくないような言動も見せますが、それもこの子の個性だと思っています。

短所はすぐ諦めがちなことでしょうか。
先程言ったように、客観的に見れるからか可能性が低いと判断すると、挑戦せずに諦めてしまいます。

先を見通すのもいいことですが、失敗を恐れずにいて欲しくて…」



常にどんな時であろうと冷静であれ
と教えたのは、誰だろうか。

客観的に見て、判断しろ。主観でものを考えるな
と教えたのは、誰だろうか。

失敗は許されないと、失敗すれば、どうなるかと
そう言ってきたのは誰だろうか。


いまさら、考えたって仕方のないこと。



「Aくん？お名前と住所は言えるかな？」


『･･･あ、はい。A・ブレイブです。
住所は＿＿＿＿＿＿＿＿＿です』


少し反応するのに時間がかかってしまった。
隣からじとりとした視線を感じる。


「お休みの日はどんなことをしていますか。」


『家で勉強をしたり、たまに父様のお手伝いをしています。父様の仕事がお休みの日はみんなで外に出かけます』



言われた通り、言われた通り、



「お父さんのお仕事は言えるかな？どんな事を手伝ってるの？」


『研究者です。僕は、実験の時の記録係をします』



違う＿＿＿＿＿僕が実験台だ。

MISSION：7→←MISSION ：5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す