朱龍の血を引く少女は「高華の獅子」2

53話 化け物 ページ5

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ル「っな！………っ、！…！？」




狼狽えるルシア




この醜い耳をおっさんとユウノさん以外に晒したのは始めてだ




左側の耳だけ一回り大きく、鱗に覆われている




この耳は信じられない程の音が入ってくる




緋龍城から町の商人の世間話




城の外の女官の噂話




当然、醜い話も聞こえてくる




聞きたくない悪口も全部




だからいつも布で覆い、髪で隠している




幼いとき、髪を結んでくれたユウノさんが気づいてから他人の右側には立たないようにしている




…気配を隠して近づいてくるハクは例外だけど





朱龍なんて聞いたことがない





四龍の伝説も緋龍王の文献も飽きるほど読み漁った




でも、朱龍なんて一言だって出てこない





つまり、私は






ル「ば、化け物！！！」





ルシアが剣を抜く





……化け物…か





『やっぱり……そうだよね……』





こんな化け物、何でおっさんは引き取ったんだか……




迫る刃を避ける気にもなれず、静かに目を閉じた


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