83話 厨房 ページ36
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『っ!……痛…』
ハ「はっ……ヘタクソ」
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「エースちゃん!次こっち!」
『……………』
「すぐ返事!!」
『はい!』
屋敷の大きな厨房
大勢の女達が動き周り、熱せられた鍋の側では熱気が広がる
額の汗を拭いながら、私は今芋の皮を剥いている
『あぁ、もう!また、指切った!!』
ハ「芋のひとつも剥けないのか!」
『前世で相当食物を粗末にしたんでしょうね!』
腕を切り落としそうになる前に、隣で特大握り飯を作っていたハクに包丁が取り上げられた
ハ「……流石に、握り飯くらいできるだろ」
『嫌、それは馬鹿にし過ぎ』
身体で払いな、と言われるがままに厨房で労働と言う名のしごきを受けていた
初めて包丁を握った時、厨房一つを黒焦げにした私には料理なんて出来る訳がない
そういえば、その後包丁片手に泥棒捕まえて、武人の素質を見初められたんだっけ………
遠い昔の思い出にふけっている間に手に大量の米がくっついてしまった
ハ「ほんっとにお前って奴は!!」
『スミマセン、ハク様!お許しを!』
水つけるのの忘れてた……!
ギリギリと音を立てて、手首が捻りあげられる
折れる折れるとハクの肩を叩いた
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ペロッとハクが手を舐めた
『へ、』
ハ「勿体ねぇ」
ペッタリくっついた米を舐め取っていくハクに思考が止まった
『あ、あの……ハク?』
ハ「ん?」
さも、当たり前かの様に掌を舐めるハク
指の間を舐められた時、背筋がゾクッとした
『っ……ん…!』
一瞬、声が漏れた
バッと顔をあげたハクと目があった
あ……しまった
穴があったら入りたい
光の速さで顔を反らした
ハ「……お前」
『…なにも言わないで』
捕まれたままの手
振りほどけば良いだけなのに
何故か離れがたいと思った
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「エースさん」
『はい!』
気まずいような、恥ずかしい様な空気に割って入ったのは鍋番の女性
ハクがパッと手を離し、直立不動の姿勢になった
「もし、手が空いてましたらこの野菜洗ってきてもらえますか?」
『はい、喜んでー!!』
野菜が大量に入った篭を受け取り、足早にハクの側を去った
外に出た瞬間、自分の顔がこれ以上ない程熱いのに気がついた
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fruit - ハクのハが八「はち」になってますよ。 (2021年8月11日 0時) (レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
コロコロオムレツ - そう、思って頂けて本当に嬉しいです!!ありがとうございます! (2020年5月6日 17時) (レス) id: b67c3bf95a (このIDを非表示/違反報告)
ハニ(プロフ) - 毎日更新を楽しみに待ってます!!夢主とハクの絡みが面白くて、気付いたらニヤニヤしながら読んでます笑 (2020年5月6日 16時) (レス) id: 8ecca9012c (このIDを非表示/違反報告)
コロコロオムレツ - ありがとうございます! (2020年5月3日 10時) (レス) id: b67c3bf95a (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます! (2020年5月3日 3時) (レス) id: 2782a43946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コロコロオムレツ | 作成日時:2020年2月23日 11時