63話 宙に ページ16
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『ねぇ、姫様遅くない?お花摘みじゃないの?』
ハ「苛立つな。槍を振り回すな」
磨いだ槍を振りながら、辺りを見回す
ジメジメしてて、虫も多い
変な力を加えればぬかるんだ地面で足を取られる
何より、私の勘が危険だと叫んでる
水場で…虫がいるってことは…それを食う生き物がいて…さらにそれを食うあれが…
ほんの一瞬脳裏に浮かんだニョロニョロに鳥肌がたった
『ねぇハク!姫様どうしてんだと思う!?まさかあれかな??あれだけは死んでも嫌だよ!?でもあれなのかな??!』
ハ「お前は落ち着け。……まさか『やっぱりあれか!?』黙ってろ」
ガンッと大刀の柄が頭に直撃し、しばし悶絶した
だって嫌いなんだもの!
今すぐ坊主になるか、あれに触るかだったらすぐさま頭を剃りますよ!?
頭を抱えて地面に目を落とすと、カランと目の前に簪が落とされた
『っ!これって…』
まだ持っていたのか
手のひらに乗ったこの装飾品がズシリと重く感じる
宝石が散りばめられた豪華な物だからではない
送り主が原因だ
つい手に力が入り、へし折りそうになった所でハクの手が重なった
ハ「まさかこれを探して……」
『は!?嘘でしょ?』
今までの道は崖を登って、毒虫をハクと私で払いながらやっと進んできた
姫様が一人で生き残れる訳がない!
『今すぐ追いかける!』
ハ「そのつもりだ!」
袋槍を握り直し、全速力で走り出す
姫様の足ならまだ遠くにいっていないはず
走ったことで、髪が乱れ、耳に音が入る
自分のうるさい心音を呼吸で沈めると、ハクの心臓の音に隠れて小さな悲鳴が聞こえた
『姫様!!』
後ろから大刀が跳ぶ風切り音がし、首根っこを強く掴まれた
『は?』
準備する間もなく、気付けば宙に浮いている自分に悲鳴をあげそうになった
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腰に回された手で意識が覚醒する
大嫌いなあれに囲まれた姫様
大刀を投げたハクは、私を肩に抱えて姫様の元に跳躍した
心の底からハクが嫌いになった
蹴り飛ばそうとした時、あれが姫様に狙いを定めているのに気が付いた
同時に頭の形から毒持ちだと分かった
姫様の安全と自分のトラウマを天秤に掛け、ハクの肩を手で突いた
ヨ「いや…あ…」
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fruit - ハクのハが八「はち」になってますよ。 (2021年8月11日 0時) (レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
コロコロオムレツ - そう、思って頂けて本当に嬉しいです!!ありがとうございます! (2020年5月6日 17時) (レス) id: b67c3bf95a (このIDを非表示/違反報告)
ハニ(プロフ) - 毎日更新を楽しみに待ってます!!夢主とハクの絡みが面白くて、気付いたらニヤニヤしながら読んでます笑 (2020年5月6日 16時) (レス) id: 8ecca9012c (このIDを非表示/違反報告)
コロコロオムレツ - ありがとうございます! (2020年5月3日 10時) (レス) id: b67c3bf95a (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます! (2020年5月3日 3時) (レス) id: 2782a43946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コロコロオムレツ | 作成日時:2020年2月23日 11時