61話 おかしい ページ14
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かき集めた乾いた枝を抱えてもとの場所に戻った
麻服を破いて解し、懐から出した火打ち石を近付け着火する
『姫様、こちらへ。夜は冷えますよ』
ポンッと隣の地面を叩いて、呼び掛ける
素直に座ったものの、生気のない瞳に沸き立つ怒りを唇を強く噛んで沈める
こんなとき、どうやって声を掛ければいい
陛下なら、優しい言葉をかけてくださっただろう
ミンスなら、温かいお茶を差し出しただろう
スウォンなら…
自然と浮かんだ元幼馴染にゾッとした
まだ、無意識に奴のことを考えていたのか
何もできない、そのくせ中途半端な気持ちを持つ自分に虚しさを覚える
ぐちゃぐちゃな感情にもう叫びだしてしまいたい
グッと噛み締めた唇から血が流れた時、
ハ「お、不細工がさらにブスになった」
『あ?』
頭の上から降ってきた低い、安心する声
ハ「出血多量で死んでも俺は助けねぇからな」
『…うるさい』
ハ「喋れんならよし」
ハクの指が優しく唇をなぞり、血を拭った
途端に紅潮した顔を何とか背け、胸を抑えた
心臓がうるさい
気付けばぐちゃぐちゃだった心が静まり、深く息を吸った
落ち着けと言わんばかりに私を見るハク
あぁ、こいつはこんなにも自分の心を整理出来ている
姫様のためにも、まず自分を沈めろ
息をゆっくり吐き、ハクの青い目を見つめ返した
『…ありがとう。おかげで落ち着いた』
ハ「…別に俺は何もしてねぇ」
ハクが姫様の隣に座り、集めた木の実を差し出す
でも、姫様はどこか上の空で首をふる
様子がおかしい
『なにか?』
ヨ「…なんでもないわ」
顔を覗き込むと、ハッとして言葉を発する
…おかしい
疑問を覚えながらも、火に薪を放り込んだ
、
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fruit - ハクのハが八「はち」になってますよ。 (2021年8月11日 0時) (レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
コロコロオムレツ - そう、思って頂けて本当に嬉しいです!!ありがとうございます! (2020年5月6日 17時) (レス) id: b67c3bf95a (このIDを非表示/違反報告)
ハニ(プロフ) - 毎日更新を楽しみに待ってます!!夢主とハクの絡みが面白くて、気付いたらニヤニヤしながら読んでます笑 (2020年5月6日 16時) (レス) id: 8ecca9012c (このIDを非表示/違反報告)
コロコロオムレツ - ありがとうございます! (2020年5月3日 10時) (レス) id: b67c3bf95a (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます! (2020年5月3日 3時) (レス) id: 2782a43946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コロコロオムレツ | 作成日時:2020年2月23日 11時