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58話 笑う ページ11

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静かな水の音




小さな泉で水を浴びる姫様




木に背を預け、目を閉じた




……体力だけじゃない。時間が経っても現実を直視できないんだ。陛下の死とスウォンの裏切りを




口許に手を当て、厳しい顔をしたハクを見る




姫様もだけど、ハクも目を離したら駄目だ




何時なんどき王都に戻り、スウォンを倒しに行くか解らない




せめて姫様を安全な場所に……





バシャッ




ヨ「あ…」




急に聞こえてきた姫様の声に思考を止めると急いで泉へ向かった。




岩に乗った姫様の足を這う蛭




怯えた様子で私を見る姫様の頭を撫でた




『安心してください。唯の蛭ですから』



ヨ「…ひる?」



『じっとして』



ピッと蛭を指で弾く



『こいつは池や沼に住み、血を吸うんですよ』



ヨ「血…」



『なに、大したことはありませんよ』




すると、ガサッと音がしてハクの声がした




姫様の声に気付いたか




姫様に羽織を被せ、ハクに突進した




ハ「いっ…!なにすんだよ!」




『あんた、姫様の裸見たいの?』




ハクを睨み、背中を押す




大人しく歩くハクの広い背中




元の場所に戻るとポスンと頭を預けた




ハ「っ!?おまっ…!?なにして『……やだよ』…どうした?」



この先、ずっと姫様はあのままだろうか?




食事もせずただ私達に手を引かれて歩くだけ




まるで人形のよう……




『あんな姫様……やだよ……』




ハクの服をクシャッと掴んだ




どうすればいい…?




あの方を失いたくない




笑っていてほしい




『…どうすれば…笑ってくれるかな…?』




また零れそうな涙をぐっと堪えようとする





すると






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ハクの手が私の手をベリッと剥がし、正面から抱き締めた




グッととおもいっきり




骨がミシッと音をたてるほど




此処までときめかない、不器用な抱き締め方があるだろうか




スッと引っ込んだ涙がその証拠だ




このままじゃ骨が駄目になる





ハクの胸に手を当てると意外とあっさり身をひいた




『ハク、お前なぁ「やっぱり、その顔の方がいいわ」……は?』




私の頬を掴み、ムニッと引っ張る





ハ「その間の抜けた馬鹿みたいな顔がしかめっ面より、姫様は嬉しいんじゃねえの?」





ニッと笑ったハクはそのまま続けた





ハ「今出来る最大限で姫様を助ける。俺らにはそれしか出来ねぇよ」






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設定タグ:暁のヨナ , ハク
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fruit - ハクのハが八「はち」になってますよ。 (2021年8月11日 0時) (レス) id: 80d0b24791 (このIDを非表示/違反報告)
コロコロオムレツ - そう、思って頂けて本当に嬉しいです!!ありがとうございます! (2020年5月6日 17時) (レス) id: b67c3bf95a (このIDを非表示/違反報告)
ハニ(プロフ) - 毎日更新を楽しみに待ってます!!夢主とハクの絡みが面白くて、気付いたらニヤニヤしながら読んでます笑 (2020年5月6日 16時) (レス) id: 8ecca9012c (このIDを非表示/違反報告)
コロコロオムレツ - ありがとうございます! (2020年5月3日 10時) (レス) id: b67c3bf95a (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます! (2020年5月3日 3時) (レス) id: 2782a43946 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コロコロオムレツ | 作成日時:2020年2月23日 11時

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