ハイロー短編集

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ホテルに入り、そのまま彼女の身体を抱き締めて、唇を重ねる。

「……ん」

すこしくぐもった声をさせ、俺の唇に応えてくれる。

「いい子…」

唇を離して、そう呟き、頬を撫でてやる。

俺を虚ろな瞳で見上げたかと思うと、よろける。

そんな彼女を支えて、ベッドに寝かしてやると、


「……ぅうっ、バカ……」

「……ん？」

「お兄ちゃんのバカァ……」

「………」

そうやって、掌で顔を覆って、泣き始めた。

そんな目の前の彼女を覆い被さるようにして、抱き締める。

「お兄ちゃんは何したの？」

そう聞けばぽつぽつと話し始めた。

「……恋人のために……人生棒に振って……遠いとこに行っちゃった…」

「……うん」

「私の所に帰ってきてくれると……思ってたのにっ……お兄ちゃんは、帰ってこない……っ…」

「うん」

「……頭良くて……かっこよくて……自慢のっ…お兄ちゃん……だったのに！」

「……そっか」

「…なんでっ……こんなことになっちゃったんだろ……」

「……兄貴って、ずるいよな」


無言で頭を撫でてやったり、身体を摩ったりする。



しかし、気づけば、

「……」

「Aちゃん？」

「……zzz」

「え、寝たの？」

「zzz」

「……おい、マジかよ……」


このまま手を出せない訳じゃないが、

「こんな安心した顔すんなよ…」

溜息とともに言葉を吐き出して、

「……おやすみ、A」

そう呟いて、彼女を抱きしめて、俺も眠りについた。


これくらいはバチ当たらないっしょ。



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