76日目。 ページ49
「……♦」
「……」
沈黙が痛い。
「……ぁ、え、えーっとイルミのケータイなら多分この辺に……あれ?」
「ここだよ♠」
「え?!」
携帯はいつのまにかヒソカさんの手の中。
いや、ほんとうにいつの間に取ったんだろう。全く見えなかった。
いつものように無表情のイルミと、いつものようにスマイルを浮かべたヒソカさんは、どちらも微妙に感情の読めない顔をしており、二人の間にはなんとも言えない殺気を感じる。片方は完全に面白がっており、もう片方はもはや能面レベルの無表情だ。
あまりにも空気が重いので、私はひとまず黙っていることにした。
「……それ、返してくれない?」
「ん〜♦嫌だって言ったら?」
「……取引でもするつもり?」
「取引っていうほどじゃないよ♣簡単な質問に二つ、答えて貰うだけでいいからさ♦」
「それで?その質問って?」
「……うーん、そうだなぁ……じゃあまず一つ目♥君の大事に思っている人間って、誰だい♦」
「家族。それ以外の答えがあるわけないよね」
「あー、即答か♦うーん、じゃあ二つ目♣」
「……」
……なんだろう、どうも嫌な予感がする。いつでも逃げられるように後ろに一歩下がろうとしたが、何かネバネバしたものに絡みつかれて動けない。
え、なにこれ。
思わず顔を上げると、ニヤッと笑うヒソカさんと目が合った。
貴方の能力ですね?!外していただけます?!と口をパクパクさせていると、もはやどちらのものか分からない殺気が机をミシミシ軋ませた。
怖すぎる。
「イルミは、Aのことが好きなのかい?」
「あぇ?!」
あまりの質問に情けない声が出てしまった。なんて事聞いてるんだ。
流石のイルミも目を丸くしている。
「……どういう意味?」
「そのままの意味だよ♠君、彼女のことを大切に思っているんじゃないのかい?」
「……たった今、大切に思っているのは家族だって言ったところなんだけど」
「彼女を大切に思っていない、とは言ってないよね?」
「……そうだね、それが何?」
「なるほど♦」
いや、なにがなるほど、なんだろう。
そう思った瞬間シュッ!!!と音がして、トランプが私の右腕ギリギリを掠めてて飛んで行った。
袖が破れた感触がする。
その瞬間イルミの恐ろしいほどに強い殺気に思わず失神しかけながら思った。
ああ、頭が追いつかない。
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バナナ - とっても最高でした!!有難うございます!!更新待ってます!! (2022年9月20日 2時) (レス) id: e7b90db1c1 (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - 孤歌さん» ありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです……!これからもよろしくお願いします! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - みーたんさん» コメントありがとうございます!ぜひ続編でもお付き合いいただけると嬉しいです! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - 初めまして凄く面白いですね!更新待ってます(゜∇^d)!! (2018年7月1日 15時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - 一言で言うとやばすぎますね (2018年6月24日 20時) (レス) id: 46104a2fe8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どらやき | 作成日時:2016年1月24日 18時