74日目。 ページ47
突然のことに言葉が出ない。
「え、いや、えーっと」
「イルミの大切な人って言ったらキルアだと思うんだけど、彼はまだ熟しきってないからね♦」
「じゅ、熟しきる……?」
「戦闘能力が成長しきってないってことだよ♣その状態でやり合ったって、面白くないじゃないか♠」
……ようやく話が読めてきた。
ヒソカさんが変態だ、あいつとは関わらない方がいい、というのはイルミから何度か言われていたけれど、まさかこういう理由だったとは。
ヒソカさんの話を整理すると、彼がかなりの戦闘狂で、強い人――この場合はイルミと――戦うために、大切な人を殺そうとしているということで。
キルアくんは、将来ヒソカさんの思う強い人になるだろうから今はまだ殺すのは惜しい、と。
そこまで考えて、彼が私の恋をちょいちょい応援してくれていたことを思い出した。
私がイルミの大切な人になるように、彼は気まぐれに手を貸してきていたのを。
まあ確かに、私は強くないし、殺すのにためらいはいらないだろう。
問題は、彼がそれを今、目の前で本人に向かって宣言してきたということだ。
「…………」
「……流石に気づいちゃったみたいだね♣」
「ええ、まぁ……。えーっと、じゃあとりあえず、調査は続行の方向で……」
「へえ、続けるの♠」
「いやもう正直やる気失せてるんですけど、仕事ですし、大金もらっちゃったし」
「ふぅん♣」
もちろん、お金だけじゃない。
ヒソカさんには一応借りがある。
以前イルミのお父さんに殺されかけた時、一度命を助けられている、あれ。
今思えば、「自分が殺さなければ意味がない」とかいう理由なのかもしれないが、手を煩わせたことは間違いなかった。
「じゃあさ、もしイルミの大切な人が君だったらどうするの♦」
「死ぬほど喜んだ後全力で逃げます」
「そう♥」
相変わらずのピエロスマイルで、ヒソカさんは心底楽しそうに笑った。
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バナナ - とっても最高でした!!有難うございます!!更新待ってます!! (2022年9月20日 2時) (レス) id: e7b90db1c1 (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - 孤歌さん» ありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです……!これからもよろしくお願いします! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - みーたんさん» コメントありがとうございます!ぜひ続編でもお付き合いいただけると嬉しいです! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - 初めまして凄く面白いですね!更新待ってます(゜∇^d)!! (2018年7月1日 15時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - 一言で言うとやばすぎますね (2018年6月24日 20時) (レス) id: 46104a2fe8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どらやき | 作成日時:2016年1月24日 18時