70日目。 ページ41
「ぃ、おい、起きろ」
「っ?!」
揺さぶられて目が覚めた。蹴り起こされなかっただけありがたいかもしれない。
「立て」
「え」
「ボスがお呼びだ」
ボス。
さっきの男は情報屋を集めていると言っていた。
そのまま引きずられるようにしてついていく。
部屋から出たら逃げるチャンスがあるかもしれないと思ったけど、どうも周りにいるやつらも念能力者らしい。
これは迂闊な動きはできない。
部屋から出た後も、視線だけを動かして周りを観察する。うーん、めぼしいものはあんまりない……あ。
廊下にいた見張りの一人に見覚えがあった。
確か、最近やばいと噂の宗教の熱心な信者で、密かに顔写真が出回っている、あいつ。
となると、ここはその宗教の信者が集まるところかな。
よくよく見たら、こいつらの胸ポケットにも分かりにくい紋章みたいな模様がある。
カルト宗教の集会所か……これは思っていたのの数倍まずい状況かもしれない。
そんなことを考えている間に廊下を抜け、私たちは広いホールのような場所に出た。
そこでまず目に入ったのは、祖国にいるはずの私の友人。
拘束されて見張りをつけられている。
思わず悲鳴をあげそうになったが、ここで声をあげれば私の知り合いだと明言するようなものだ。
ぐっと堪えて目線だけで彼女に謝る。
こんなときでも気の強さを隠そうともしない彼女は、「自分に構うな」と目で訴えてきた。
「知っていることは全て話せ。さもなくば――」
こいつがどうなっても知らんぞ、と。
ああ、実際に知り合いかどうかは関係ないんだ。もし本当に知り合いでなかったとしても、見せしめで彼女が痛めつけられるのが目に見えている。
そうして良心を刺激して、吐かせようという魂胆だと思う。
だめだ、打つ手がない。
私では逃げられないし、逃すこともできない。
癪だけど、答えられる問いであることを祈ろう。
覚悟を決めたのが分かったのか、相手はニヤリと笑って口を開く。
「一つ目の問いだ。幻影旅団の――。」
ボスがそこまで言った時、見知ったデザインの針がそいつの頭に刺さるのが見えた。
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バナナ - とっても最高でした!!有難うございます!!更新待ってます!! (2022年9月20日 2時) (レス) id: e7b90db1c1 (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - 孤歌さん» ありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです……!これからもよろしくお願いします! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - みーたんさん» コメントありがとうございます!ぜひ続編でもお付き合いいただけると嬉しいです! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - 初めまして凄く面白いですね!更新待ってます(゜∇^d)!! (2018年7月1日 15時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - 一言で言うとやばすぎますね (2018年6月24日 20時) (レス) id: 46104a2fe8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どらやき | 作成日時:2016年1月24日 18時