69日目。 ページ38
「やあ、おはよう。今日の味噌汁は何?」
「おはよう、まさか朝6時に来るとは思ってなかったわ」
♢
「はい今日の味噌汁ですどうぞ」
「どうも」
「しっかし、なんでこんな朝早くに来たの?」
「あ、これなんの味噌汁?」
「ねえ話聞いてる?」
「うーん、だってさ、Aが言ったんじゃん。味噌汁作るって」
「え、いや言いましたよ?!言いましたけども、それは言葉の綾というか」
「じゃあ嘘?」
「嘘じゃない」
「なら良いじゃん」
「問題は時間帯なんだよなあ……」
「ああ、俺今から仕事だから早く来ないと間に合わなかったんだよね」
「そ、そうだったの?」
「そうだよ」
「な、なるほどね、そうまでして私の味噌汁が飲みたかったのか〜」
「そうだよ」
「えっ?!……ってちょっとまって適当に返事したでしょ、顔がいつも以上に死んでるし」
「ああ、バレた?」
「そりゃバレるわ!ていうか、今日なんか言葉のキレが薄いけど調子悪い?」
「殺すぞ」
「ごめんね」
「……お前もそんなことばっかり言わせないでくれる?」
「ごめんて……というか、本当に毎日来るの?」
「うん。毎朝なんだから間に合うように来ないとね」
「そうだね。……いや、私は別に朝じゃなくても」
「そんなわけで明日は四時に来るから」
「早い早い!!」
♢
どうするべきだろうか、とは思っていた。
俺がとっくの昔からなんらかの感情を持て余していたのは事実で、「お前を殺したい」という言葉が本気のものから冗談へ変わっていったのも事実だった。
――今、また本気の言葉に変わりかけているのも。
初めて会った時、俺の正体を見抜いたが故の怯えた顔に興味を持った。
興味と言ってもその能力に対してであり、人格などどうでもよかった。
そのはずだった。
それが何故今こうなっているのか、俺には分からない。
分からないが、冗談になっていた言葉が、また本気になった時に――それも、もっと嫌な意味になった時に、俺は本当にどうしたら良いか分からなくなってしまった。
それはつまり、いっそ殺せば良いのだと。
誰のものにもならないでくれと。
普段ならあっさりと実行していたであろう暗殺も、針も、あいつ相手にはどうしても手が躊躇った。
理由なんて、考えたくもなかった。
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バナナ - とっても最高でした!!有難うございます!!更新待ってます!! (2022年9月20日 2時) (レス) id: e7b90db1c1 (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - 孤歌さん» ありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです……!これからもよろしくお願いします! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - みーたんさん» コメントありがとうございます!ぜひ続編でもお付き合いいただけると嬉しいです! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - 初めまして凄く面白いですね!更新待ってます(゜∇^d)!! (2018年7月1日 15時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - 一言で言うとやばすぎますね (2018年6月24日 20時) (レス) id: 46104a2fe8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どらやき | 作成日時:2016年1月24日 18時