54日目。 ページ23
「……参ったなあ」
二人が去った後、俺はひとりごちた。
もう少し手こずっているかと思ったのに、これじゃあ台無しだ。
俺の読みが外れるなんて、相手が相当弱かったんだろうか。
「……いや、でもあのゾルディックだし」
あっさり終わらせて帰ってくるのも分からなくはない。それでも、俺としてはもう少し時間をかけて欲しいところだった。
何故なら、一番言いたかったことをまだ言えていないのだ。
「君もさ、押せおせにならずにたまには引くということを覚えなよ……」
へらへら笑いながら求婚している情報屋を想像して、俺は思いっきり頭を抱えた。
♢
「い、イルミさん」
「ん?」
「早かったね」
「うん、それより何であんな場所にいたの?俺は待ち場所を指定してたはずだけど」
「行ったよそこ」
「?」
「行ったけどあの部屋さ、貴方のお父上の隣の部屋だったんだよ!」
「は?」
「びっくりするでしょ?その後シルバさんが、あー隣はイルミかー、みたいなノリで入ってきてさあ。あっさり鉢合わせたよね」
「……」
「会ったところで私に勝ち目なんかあるはずも無く、ヒソカさんが庇ってくれた隙にシャルナークさんのところに逃げたのさ」
「ああ、それで」
「ヒソカさんにめっちゃ感謝してる」
「はいはい」
「あ、お怪我はありませんか」
「してるように見える?」
「見えない」
「だろうね」
「怪我どころか返り血一つ付いてないってどういうことなの」
「俺の腕の良さを考えてみなよ」
「まあ負けるところは想像できない」
「うん」
「……あっ、ヒソカさん無事かな?!普通に囮にしちゃったんだけど」
「平気だよ。あいつが病院送りになってるところとか想像できる?」
「無理」
「でしょ?報酬も渡さなきゃいけないし、どうせ俺があとから会うから君は気にしなくていいよ」
「あー、分かった」
「うん」
「じゃあその時に私がありがとうって言ってた、って言っといて」
「嫌」
「なんでや」
1041人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
バナナ - とっても最高でした!!有難うございます!!更新待ってます!! (2022年9月20日 2時) (レス) id: e7b90db1c1 (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - 孤歌さん» ありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです……!これからもよろしくお願いします! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - みーたんさん» コメントありがとうございます!ぜひ続編でもお付き合いいただけると嬉しいです! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - 初めまして凄く面白いですね!更新待ってます(゜∇^d)!! (2018年7月1日 15時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - 一言で言うとやばすぎますね (2018年6月24日 20時) (レス) id: 46104a2fe8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:どらやき | 作成日時:2016年1月24日 18時