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No side

カコン、とどこかで鹿おどしが鳴り響き静寂な空気を和らげる。
所変わり江戸時代に聳え建っていそうなお屋敷の中。縁側へと続く襖をつばさはガラリと開ける。空気を入れ替える為だ。


「おいつばさ、コイツ何者だ。俺様の蹴りを避けたぞ、ゴリラか?」
「分かってるじゃない」
「誰がゴリラだ」


静かな雰囲気をぶち壊す会話を始めた少年の隣に座る和服を纏った旭が牽制の言葉をかける。それを合図にまたシン、となった。


「まあ、いい。それよりここには何をしに来たんだつばさ。鍛錬じゃなさそうだな」
「うん、降谷に旭さんの居場所が知りたいって言われて連れてきただけだよ」
「ふーん…まぁいい、道場に来い」


鍛錬をやりに来たわけじゃないと明確になったにも関わらず少年は、そうつばさに声をかけた。勿論彼女は反論を述べようとするが少年が魅せた鋭い瞳に圧倒され、そのまま渋々2人は部屋をあとにした。

取り残された降谷は旭に聞こうとしていた質問をし始める。
それも一通り終わった後、大きな音が彼方から聞こえた。旭が「またか」と呟く。
それに首をかしげながらも歩き出した旭の後ろをゆっくりとついていく降谷。

先程2人が向かった道場だろうか、中に足を踏み入れて絶句した降谷。何故なら、銃弾をも斬ってしまうあのつばさがボロボロになっていたからだ。
向かうはあの少年…もとい、旭和馬。
どうやら本名ではないらしい。FBIに保護された時に名前を授かり戸籍を作ったのだ。旭という苗字は、引き取り手の彼の苗字だ。


「一体、何が」

「やはり弛んだな、つばさ。弱くなってる」


コツン、と木刀をつばさの顎に当てながら言い放つ和馬。その瞳は赤く、リコリスのように燃えていた。少年の本当の瞳の色は、黒なのに。

そこではっとなる降谷。以前彼女から聞いていた話を思い出し、あれが能力が発動している状態かと把握する。
すると降谷をじっと見つめる和馬。なにか分かったような表情をみせる。


「成程、弛んだ理由はそれかつばさ」
「別に、そういう、わけじゃない…」
「ふん、どうだかな」


カツン、と木刀をその場にし立ち去ろうとする少年。その背中を見ながら汗を拭うつばさ。ぎゅっと悔しそうに瞳を閉ざしながら立ち上がった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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はづき(プロフ) - 茉莉(まつり)さん» 「本当にありがとう」という最上級の感謝の意味が込められています。分かりづらく申し訳ないです!これからもよろしくお願いします! (2018年4月28日 19時) (レス) id: 99fb8399f0 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(まつり) - あの英語ってどういう意味なんですか?面白いです!更新楽しみにしていますね!! (2018年4月28日 19時) (レス) id: 5299f2ee2b (このIDを非表示/違反報告)
はづき(プロフ) - アオさん» コメントありがとうございます!拙い文章ばかりになってしまうかもしれませんが、お付き合いして頂くと嬉しいです!頑張ります (2018年4月27日 22時) (レス) id: 99fb8399f0 (このIDを非表示/違反報告)
アオ - 続編おめでとうございます。続き楽しみに待ってます。 (2018年4月27日 22時) (レス) id: 95a693fe0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はづき | 作成日時:2018年4月27日 19時

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