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降谷side
無事、下にたどり着いて男を下ろせばドンドンと聞きなれた音があたりに響いた。
上を見れば紅らしき人物が隣のビルに向けて銃を構えているのが見えた。
それを確認して何をしようとしているか察する。
(まずい!あそこじゃ距離が足らない!)
気づいたら足は勝手に動いていた。降谷零としてこれは正しい行動なのかどうかは分からない。ただ、ここで何もしないのはきっとあとで後悔するだろうと思った。
ビル内に入ると今度は爆発音がした。慌てて外を見ればそれに乗じて飛んでいるのが見える。
「成程、爆風を利用すれば確かに届くかもしれないな…」
そう呟いた時、突然体制を崩した。すぐに紅がコナン君を投げる。
「ビル風か…っ!!」
軌道が下へとズレている。思わず目の前のガラスを拳で割る。
両手を広げればちょうど収まるように飛び込んできた紅。
反動で後ろへと倒れ込む。なんとか受け身を取り頭への衝撃を防いだ。
俺の行動が疑問だったのか色々問い出す紅。納得したのか分からないが傷だらけになっていた俺の手を握ってきた。思わず声を漏らす。
すると突然笑い出し、今度は泣いた。
「情緒不安定か?」
「違う……嬉しかったんだ…」
「えっ…?」
「ねぇ、降谷。私やっぱり降谷が好き」
いつもと違う、優しげな笑顔で突然告げた。
不覚にも心臓がいつもと違う音を立てる。
俺はこの状況を恐れていたはずだ。なのに、心のどこかで…
(なんで、喜んでんだ_____…)
「な、んだ…いきなり」
「降谷ってさぁ、動揺すると私のこと名前で呼ぶんだね。さっきもそうだけど、
私が頬にキスした後も私のこと『つばさ』って呼んでたし」
ふふふ、と満足げに話す彼女。
思い返してみればそうだ…となるがそれを自分より先に気づいているコイツは中々侮れないと認識する。
抱き抱えられていた紅は体を起こし、俺に手を差し伸べる。
「降谷が恋愛したくない理由は、分かるよ。
でも…想うくらい許して?」
いつもは眩しいくらい明るい存在である彼女が、酷く悲しげに笑う。
そんな姿を見ていられなくて、差し出された手を引っ張りもう一度自分の中に閉じ込めた。
爽やかな太陽の香りがして瞳を閉じる。
「…俺はそう易々と堕ちないぞ」
「でしょうね」
「……………ばか紅」
そっと、彼女に気付かれないように髪の毛に唇を落とした。
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はづき(プロフ) - 茉莉(まつり)さん» 「本当にありがとう」という最上級の感謝の意味が込められています。分かりづらく申し訳ないです!これからもよろしくお願いします! (2018年4月28日 19時) (レス) id: 99fb8399f0 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(まつり) - あの英語ってどういう意味なんですか?面白いです!更新楽しみにしていますね!! (2018年4月28日 19時) (レス) id: 5299f2ee2b (このIDを非表示/違反報告)
はづき(プロフ) - アオさん» コメントありがとうございます!拙い文章ばかりになってしまうかもしれませんが、お付き合いして頂くと嬉しいです!頑張ります (2018年4月27日 22時) (レス) id: 99fb8399f0 (このIDを非表示/違反報告)
アオ - 続編おめでとうございます。続き楽しみに待ってます。 (2018年4月27日 22時) (レス) id: 95a693fe0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はづき | 作成日時:2018年4月27日 19時