【名探偵コナン】いろはにほへと (ページ46)

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ドサリと私に覆いかぶさるように倒れた赤井さんの背中から流れる血。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿『つばさ』

母を、思い出してしまった。

(違う、あの時とは違う！この人は、生きている！)

「赤井、さ…」
「てめぇ…勝手に何してんだ…」
「っ…いても立ってもいられなくて…」

ゆらり、と赤井さんの背後で赤黒い刀が揺らめきその場から赤井さんを担いで急いで離れる。

「状況を説明しろ、紅。あいつはなんだ」
「そんな事より傷が…」
「うるせぇ、さっさと答えろ」

「っ……"ハエ"の人体実験の成功者…」
「ハエだと？」
「赤井さん、ハエの目の特性知ってる？
ハエから見たら私達の動きがスローモーションに見える事…｣

「まさか、その目の細胞を」
「そう、遺伝子情報に組み込んだ」

「狂ってるな」
「同意見」

あの"1号"から距離をとり、息を荒くした赤井さんが後ろを見つめた。

「つまりあいつから見た世界はスローに見えるからあんなに速い動きしてんのか」

そう呟くと何かを考えているような仕草をする。

「紅、お前その模造刀で相手を引き付けられるか」
「え？…まあ、引きつけるくらいなら」
「よし、俺が後ろから狙撃する」
「え…」

「安心しろ、お前には弾は当たらねぇ」

そう何故か強気に言い放つと私の頭を適当に撫でる。

ひどい怪我をしているのに、彼はどうしてここまでしてかれるのだろうか。

(心理がわからない)

模造刀を構え、意識を集中させる。
ドクンドクンと疼く怪我に邪魔されそうになるが、心を無にし目を開けた。

カキンっ＿＿＿＿＿＿

あいつの刀を受け止められた。
それに驚いたのか目を見開いてる少年。その隙を見て刀の刃の向きを変え下から振り上げる。
当たっても模造刀なので怪我はしないが衝撃は与えられる。刀身が少年の頭を弾き、そのまま後ろへと体が傾いた。

「いっけぇーーー！！！！」

私の言葉を合図に赤井さんが銃弾を放つ。
それは少年の肩を貫き、地面へと降り立った。

ホッ、と息をついた瞬間、何故か後から少年の声がした。

「こんなの、痛くない、よ」
「え…っ」

お腹を、貫かれた。
先程とは違う、本気の刀で。

「が…はっ」
「紅！」

「終わり、だよ」

刀を持って振り上げる、少年の腕を掴む。

「捕まえ、た……」

母と同じように笑った。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿そしてここで、私の意識はぷつんと途切れた。