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「かんぱーい！」
いつも阿部ちゃんと来てる和食屋さん。
いつもの個室、いつものビール。
いつもと違うのは、
「結局いるし」
照くんが本当にご飯についてきたこと。
「いいじゃんいいじゃん、おれおごるし」
「さすが照様ーっ！」
調子よすぎ、って照くんが笑う。
隣に座る阿部ちゃんは高いのから頼んじゃおーねってわたしに笑いかけて、張り切ってメニューを開いた。
「わたしも払うよ」
「いいんだって、女の子は黙って奢られときなさい」
女の子、って歳じゃないんだけどな。
でも女の子扱いしてくれるのが嬉しくて、ありがとうって言ったら、明日のメイクは絶対Aがしてねってちゃっかりお願いされた。
「いっつもAちゃんの取り合いだもんね〜」
注文を終えた阿部ちゃんが少し頬を膨らませて会話に入る。
わ、その顔可愛い。
ファンの子が見たら悶絶。
「ほんとだよ、康二とか絶対Aじゃないと嫌や、とか言いやがって」
「その時くらいだけどね、康二がわがまま言うの」
「確かに。普段は何でも遠慮しがちなくせに、Aだけは譲んねーもんな」
「あはは、可愛いわがままだね」
「目黒くらいじゃね？Aに頼まないの」
目黒、その名前に動きが止まる。
「ちょっと照！！」
慌てて阿部ちゃんが制するけど時すでに遅し。
しまった、って顔した照くんに、あわあわする阿部ちゃん。
そして、お酒が入っているわたしは、
「やっぱ、嫌われてる、のかな……」
ネガティブのスイッチが入ってしまった。
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作者名：葵
| 作成日時：2023年10月16日 1時
