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「後悔してる？」
薄暗い部屋、ベッドに寄りかかる目黒くんに後ろから抱かれたまま声をかけられる。
「してる、」
わたしの髪をいじっていた指先がとまった。
「って言えたらいいんだろうけど」
それに指を重ねながら振り向くと、大好きな柔らかい瞳と視線がぶつかった。
もう、どちらも視線を逸らさない。
「してない。ずっとこうなりたいって思ってた」
「っ、」
「わたし、したたかな女なんだよ」
薄く笑って言えば、 目黒くんの唇がわたしのそれに近付いてくる。
「おれも、してない」
そう言って重なった唇。
これは、目黒くんの彼女に対する裏切り。
わたしのことを純粋に真っ直ぐに想ってくれている康二くんへの裏切り。
そんなことわかってるし、最低なことしてるって自覚もある。
だけど、この腕のぬくもり、力強さ、優しさを知って抜け出せるわけがない。
「ん、れんくん、」
「なに、A、」
「もっと、」
どんどん深くなっていく口付けにまた箍が外れていく。
モラルも、理性も。
目黒くんを前にしたら、意味のないものなってしまった。
目黒くんもそうだったらいいのに。
そう思ったのは、内緒。
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作者名：葵
| 作成日時：2023年10月16日 1時
