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「Aちゃん、今夜久しぶりにご飯行かない？」
康二くんのメイクが終わって、照くんのメイクをしようとしている時に阿部ちゃんから声がかかる。
すでに阿部ちゃんはメイクも衣装変えも終わってて、キラキラしていた。
「わ！今日の衣装すごくいいね！阿部ちゃんに似合ってる！」
「ほんと？Aちゃんに言われると素直に嬉しい！」
ぱっと花が開いたように笑う阿部ちゃんは本当に可愛い。
本当に同い年？って疑うほど。
そして何でこんなに可憐なの？、とも毎回思う。
きっと、わたしよりもおしとやか。
こんな人は、わたしみたいなドロドロした感情は抱かないんだろうなあ。
「飯行くの？おれも行く」
「えっ照も？」
「だめなのー？いいじゃーん女子会混ぜてよ」
「おれ女子じゃねーし！」
阿部ちゃんの鋭いツッコミに思わず吹き出してしまう。
そしたらまた阿部ちゃんが笑顔になった。
「よかった、Aちゃん笑顔になったね」
「え？」
「康二のメイク中、悲しそうな顔してたから」
「あ、ごめん、」
アーティストに気を使わせるなんてメイク失格。
しかも私情挟むなんて、わたしダメダメだ。
「また話聞くよ？だからご飯いこ！」
でも阿部ちゃんは何でもないかのようにまた笑って、わたしを笑顔にしてくれる。
だから今度は、
「ありがとう」
って、笑った。
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作者名：葵
| 作成日時：2023年10月16日 1時
