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「っ、ぁ…っ、」
上からかかる重みが愛しい。
汗ばむ肌が吸い付く感覚さえも愛しい。
特段鍛えているわけじゃないはずなのに、筋肉質な身体。
ごつごつした、だけど綺麗な指が、わたしの肌に触れる度、言い様のない感覚が身体中を巡る。
「れん、く…っ、」
「もっと、呼んで」
いつもよりも熱っぽい声。
唇が触れる距離で名前を呼ぶと、お互いの呼吸を交換しているみたいだ。
すべてがわたしを出られない迷路の中に引きずり込んでいくよう。
「れ、んっ」
「A、」
ただ、名前を呼ばれただけ。
いつもの"ちゃん"がとれただけ。
それだけなのに。
「うれし…い…」
たまらなく、嬉しくて。
ずっと、この瞬間が続けばいいと思った。
「や、も、だめ…っ」
「うん…」
遠くから見ていただけだったあの唇が、わたしのそれに重なる。
啄むように口付けられて、それだけでもう溶けてしまいそう。
「っゃ、…っっ、」
「A、」
刹那、二人とも弾けた。
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作者名：葵
| 作成日時：2023年10月16日 1時
