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どこに座ろうか、と一瞬戸惑う。
だけど空いているのは目黒くんの隣しかなくて。
目黒くんの目の前に座ってる阿部ちゃんが、とりあえず座りなよって言うから少しだけ座布団を離して座った。
阿部ちゃんの隣にいる康二くんは相変わらずむっとしたまま。
不本意、って顔してる。
「驚いたよね？」
「あ、うん…康二くんだけだと思ってたから」
素直にそう言うと、阿部ちゃんはごめんね、って苦笑いする。
「帰りの車で、康二からAちゃんとご飯行くって聞いてさ。そしたらめめがおれも行きたいって言うから」
「目黒くんが？」
「うん。ダメだった？」
そこで隣の目黒くんを見ると、首を傾げてそう言うから、ダメだった、なんて言えるはずない。
そもそもダメなはずがない。
ただ、こんなこと初めてで戸惑ってしまう。
「めめ、ダメじゃないよ。でも三人よりおれもいた方がいいかなって思って」
わたしが返事をするよりも早く阿部ちゃんが言葉を紡ぐ。
「おれはAと二人がよかったんやけど」
そこでようやく康二くんが言葉を発した。
棘のある言い方は明らかに目黒くんに向けられたもの。
いつも優しい言葉を紡ぐ康二くんからは想像できない物言いに、阿部ちゃんもわたしも苦笑い。
でも、そんなこと気にしてないのか気付いてないのか、目黒くんはメニューを徐に手にとった。
「何飲む？結構いろんな種類のお酒あるよ、日本酒とか」
「あ、ありが「Aはビールしか飲めへんから」
わたしの言葉を遮るくらいには康二くんは機嫌が悪いらしい。
「そうなの？意外」
「今までAと飲んだことないからやろ」
対角線上の雰囲気が悪い。
ちら、と阿部ちゃんの方を見ると口パクでごめんね、って苦笑いしていた。
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作者名：葵
| 作成日時：2023年10月16日 1時
