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「康二、優しいでしょ」
「はい」
「でも、残酷よね」
「……はい」
康二くんが車を回しにいった。
隣に立つその声色は、もうわたしを攻撃することなかったけど、切なくて。
「なんでアンタが泣きそうなのよ」
「っ、だって、」
「すぐ泣く女は嫌いよ」
「…代わりに泣いてあげるんです」
「むかつく」
きっと、この人はたくさんのことを諦めてきた。
でもわたしが写真撮ってあげたら?っていうのも違う。
この人も康二くんも望んでない。
「言わないんですか」
「言えないのよ」
諦めにも似たその言葉は、一生康二くんに届かない。
「わたし、幸せなので」
「ふぅん。よかったわね」
「康二くんのことも幸せにしますから」
「ほんと何様」
でも、頼んだわよ。
今にも泣き出しそうな声は、お待たせって声に掻き消された。
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葵(プロフ) - みぃ。さん» はじめまして!コメントありがとうございます🧡たくさん読んでいただけて嬉しいです〜!これからも読んでいただけるようにがんばります♡ (10月20日 0時) (レス) id: 9d9881e18b (このIDを非表示/違反報告)
みぃ。(プロフ) - 初めまして!ひまわり、たいようと読ませていただきました。🧡さんの優しさが全面に出ててほっこりしました。また他の作品も読ませていただきますね! (10月18日 21時) (レス) id: fb4296a570 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - mamemiyaさん» こちらこそありがとうございます〜♡ぜんっぜん無理してないので、お付き合いよろしくお願いします(^ ^) (6月3日 13時) (レス) id: 9d9881e18b (このIDを非表示/違反報告)
mamemiya(プロフ) - 続編ありがとうございます。作者様の無理のないペースで更新楽しみにしてます。 (6月3日 10時) (レス) @page4 id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵 | 作成日時:2023年6月2日 17時