貴方side ページ9
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玄関の物音に気づいたのか、
奥からスリッパの擦る音が聞こえる。
最初に顔を出したのはおば様で、
私の顔を見るなり眉毛を八の字に下げた。
いつもだったらどこに行ってたのですか！って怒るおば様も今回はご無事でよかった、と肩を落としてて。
その後ろからお母さんが私を呼んだ。
寝て、ないのかな。
目の下の隈が酷い。やつれてる。
私の存在を確かめるかのように肩に触れたお母さんも、帰ってきてくれてありがとう。なんて声を震わせてて。
心配してくれてたんだなって実感して
ごめんなさい、って言葉がすんなり出た。
母「ごめんね、A。」
『なんでお母さんが謝るの』
お母さんは悪くないじゃん。
だから帰ってきたんだよ？
私はお父さんを許せないだけ。
『お父さんは、今いるの？』
母「ええ、いるわよ。」
貴方が出てってからずっとリビングにいる、とお母さんがリビングの扉の方を向く。
お父さんはずっとソファに座ったまま
私を待ってたと。
連絡もしてこないくせに
……私の事、なんとも思ってないくせに
なんでずっとリビングにいるのよ。
母「…疲れてるでしょ」
部屋で休みなさい、と背中をさすられて
言う通りに自部屋へと足を進めた。
見慣れた空間に、さっきまで自分自身で纏っていた緊張が和らぐ。
母「私達、午後から仕事だから何かあったらおば様に言ってね」
『…うん』
母「………A」
扉から顔を覗かせるお母さんが
私の名前を呼ぶ。
母「お父さん、悪気はなかったの」
『………』
母「本当に……」
『…わかってても、簡単に許せないよ』
お母さんにそんな事を言われたって、すぐに分かりましたって納得する事は出来ない。
慎太郎くんが言ってくれたから
家に帰る決心がついたけど、
私はお父さんに対して嫌悪感をまだ抱いてるのは事実だし。
仲直りしたいと思わないし、謝って欲しいとも思わない。
『お母さん…私ね、大切な人が出来た』
母「え？……」
だから心配しないで。
その人といれば私は大丈夫だから。
『最低限のことは守るから、もう自由にさせて』
急に襲ってきた疲労感から自然と声量が小さくなる。
それを感じ取ったお母さんは
わかったともダメとも言わず、
ごめんね、ともう一度謝って扉を閉めた。
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蝶-アゲハ-(プロフ) - さつきさん» 感想ありがとうございます！なんと、！？そんな読んでいただけてたなんて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！(土下座) (2021年8月31日 8時) (
レス) id: 7d431f17aa (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結お疲れ様です！更新されるたびにドキドキしながら読まさせて頂きました^ ^完結が待ちきれなくて何度も初めから読んだりするほど大好きな作品です！次のお話も楽しみにしています！！ (2021年8月31日 2時) (レス) id: 0e07e9da53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蝶−アゲハ−
| 作成日時：2021年5月28日 0時
