貴方side ページ7
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「………A、」
『…………ん？』
優しい声が脳内に響いた。
この世界に呼び戻されるようにゆっくりと瞼を開けたら、あの真っ暗な空が薄明るい。
『…………ぁ、』
「あれ、見てみ？」
向こう、って顎で指された方角には
太陽の頭がで出している途中で。
朝が来ちゃったのか、とその太陽がゆっくり姿を現すのを2人黙って見つめてた。
光が強くなって、海がキラキラと輝く。
だけど寝起きの瞼にはちょっと明るすぎるそれ。
光を遮るように慎太郎くんの胸に顔を背けたら
ゆっくりと後頭部に手を回されて。
そのまま髪を梳かすように撫でられた。
「眠そうだな、」
頭の上から彼のくぐもった笑い声が聞こえる。
慎太郎くんは、寝てないのかな。
『慎太郎くん、寝てないの？』
「まぁ、」
『寝れなかった？』
私のせいで、寝てないのかもしれない。
そう思ったら急に込み上げた謝意。
だけど彼はそんな私の気持ちを読み取ったのか
寝なかっただけ、と言う。
「オール、慣れてるから」
『…ごめん』
「おい、謝んな」
太陽がすっかり出てしまったせいで
急に温度が上昇する。
「……帰るか」
『帰るとこ、…ない。』
立ち上がった慎太郎くんの手を急いで取る。
彼と離れたくなかったのと、どこにも行く宛てがないってことを伝えたくて。
『自分の家、帰れない』
「…母さんは？」
『え？』
お父さんとだろ揉めたの。って言われて
素直に頷くと、彼はまた私の横に腰掛けて
「お母さんはAのこと心配してんじゃないの？」
と、携帯を見るよう促す。
私、お母さんにしばらく家に帰らないって連絡したの忘れてた。
言う通り、電源を切ってた端末を蘇らせれば
ラインに赤く通知が上がってる。
彼の言うとおり、お母さんから返信があった。
��何処にいるの？��
��家に帰ってきてA��
��お父さん、悪気はなかったの��
��お願い、��
お母さんからこんな言葉をもらうなんて思ってなかった。
私だって、本当は家を出るつもりなんてなかったよ。
あの家に、私の味方はいないって思ったから。
だけど、お母さんからのメッセージをみて
少し、………少しだけ、嬉しかった。
覗くように私を見た彼が帰ろう、と言う。
慎太郎くんが言ったから頷けた。
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蝶-アゲハ-(プロフ) - さつきさん» 感想ありがとうございます！なんと、！？そんな読んでいただけてたなんて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！(土下座) (2021年8月31日 8時) (
レス) id: 7d431f17aa (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結お疲れ様です！更新されるたびにドキドキしながら読まさせて頂きました^ ^完結が待ちきれなくて何度も初めから読んだりするほど大好きな作品です！次のお話も楽しみにしています！！ (2021年8月31日 2時) (レス) id: 0e07e9da53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蝶−アゲハ−
| 作成日時：2021年5月28日 0時
