慎太郎side ページ5
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「たまに思い出すんだよな、あの時の光景。」
母さんが俺の頭に手を乗っけて笑ってる顔とか
妹が俺を見つめてる表情とか。
「そういう嫌な事とか喧嘩して胸糞悪い時に海くると、全部流してくれる気がして」
だから今日、お前を連れてきた。
…家で嫌なことがあったんだろ。
ミヤビから少ししか聞いてねーから詳しいことはわかんねぇけど、ちょっとでも気持ち軽くなるんじゃねーかなって。
そう思って連れてきた。
…ただ、今のところ
俺の恥ずかしい所を見せただけみたいになってっけど。
「結局俺は、こうやって感傷に浸る弱い男だぞ。それでも好きになるか？」
『好きだよ』
「っ……」
彼女はなにも抵抗する素振りもなく
俺に好きだと言った。
『慎太郎くんと居ると、安心するの。さっきの話を聞いてより一層、一緒にいたいって思う。最初は、当たり強いし、何考えてるかわかんない人だったけど今はわかるよ。とっても優しくて、友達想いな人って。』
月光に照らされた彼女の顔がくっきり見える。
微笑んでるその表情は一瞬、母さんと重なって
また消えないように、その華奢な身体を抱きしめた。
あの日、母さんが俺を捨てた日から
誰にも必要とされてないって思って過ごしてたのに。
生きたい意志がなかった彼女が
俺といたいって思ってくれてる。
それだけで十分だった。
「お願いだから、俺の前から消えんなよ」
『………わかった』
「お前、何するかわかんねぇから」
『なに、それ…』
初めて来たゲーセンで驚きっぱなしの顔とか
メイクしてもらって楽しそうに笑ってる時とか
表情豊かで見てて面白いし
興味あること色んなことに挑戦しようとする所とか
急に破天荒になる所とか
ほっとけねーし、目離せねーの。
もう、その時点で俺は堕ちてんだ。お前に。
「俺と…付き合う？」
『……うん』
何度目かの涙が彼女の頬を流れる。
…今日、泣きすぎだろ
それを止めてあげるように、口付けた。
同時に、海の音が一瞬消えたように感じた。
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蝶-アゲハ-(プロフ) - さつきさん» 感想ありがとうございます！なんと、！？そんな読んでいただけてたなんて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！(土下座) (2021年8月31日 8時) (
レス) id: 7d431f17aa (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結お疲れ様です！更新されるたびにドキドキしながら読まさせて頂きました^ ^完結が待ちきれなくて何度も初めから読んだりするほど大好きな作品です！次のお話も楽しみにしています！！ (2021年8月31日 2時) (レス) id: 0e07e9da53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蝶−アゲハ−
| 作成日時：2021年5月28日 0時
