貴方side ページ32
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つい、手を伸ばしてしまった。
ダメだってわかってたのに。
ゆっくりと横にスライドさせて
耳にあてれば
「A、？」
『っ…』
数週間ぶりに聞いた慎太郎くんの声。
何度も私の名前を呼ぶ
『慎太郎くん…』
「……A！」
『……慎太郎、くん』
あぁ、ダメだ。
声聞いたら泣けてくる。
だって慎太郎くん私の名前呼ぶ時凄く優しい声なんだもん。
「親に何された？父親か？」
『……っ、なにも、されてない』
「本当かよ」
彼が焦っているのが分かる。
前は頬を叩かれたからそれを知ってて心配してくれてるんだろうな。
本当に何もされてないよって言えば、
渋々、それ以上聞いてくることは無くなったけど
「じゃあどうして学校来ねぇし連絡よこさねぇの」
『……ごめん』
「俺の家、泊まったから？」
不機嫌というか、不服そうな彼の声が聞こえてくる。
なんで私が学校を休んでるのか、詳しいことが知りたいと。それは慎太郎くんだけじゃなく、ミヤビちゃんだってジンくんだって思ってるって。
だけど……
「今からそっち行く、電話じゃムリ」
『………ダメ』
「なんで」
体調不良じゃねーんだからいいだろ、と言われる。
そうだけど……ダメなの。
『慎太郎くんと別れたくないから』
「…は？」
お互いの声が静まる。
時間が止まったみたいに機械の雑音だけが耳に残った。
「……どういうことだよ」
『…、っ…会ったら、別れろって言われる』
なんだよそれって、問い詰められて
少し怒ってる様に言ってしまった。
勝手に泊まったのは私だから今回はちゃんと親の言うこと聞いてる、と
そしたら馬鹿じゃねぇのって言われて肩がビクッとなった。
『だって、こうでもしないと____』
「そうじゃねぇよ」
俺らの問題なのになんで1人で勝手に抱え込んでんの
そう言われて、ハッとした。
原因は俺も含まれてるだろって
『慎太郎くんは悪くないもん』
「俺も同罪だっつの」
違うって否定しても全然認めてくれない。
でもそうやって私に寄り添ってくれるのはいつも慎太郎くんの方だ。
今は会えなくても、声を聞いただけで
そばに居るような感覚になる。
そしてやっぱり離れられなくなる。
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蝶-アゲハ-(プロフ) - さつきさん» 感想ありがとうございます！なんと、！？そんな読んでいただけてたなんて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！(土下座) (2021年8月31日 8時) (
レス) id: 7d431f17aa (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結お疲れ様です！更新されるたびにドキドキしながら読まさせて頂きました^ ^完結が待ちきれなくて何度も初めから読んだりするほど大好きな作品です！次のお話も楽しみにしています！！ (2021年8月31日 2時) (レス) id: 0e07e9da53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蝶−アゲハ−
| 作成日時：2021年5月28日 0時
