貴方side ページ27
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「A、帰ろ」
『……うん、』
慎太郎くんが帰ろうと言ったのは
空も暗くなり、肌寒くなってきた時だった。
ガレージにあるブランケットを借りてた私は
それを樹さんに返す。
田「Aちゃん、またね」
『樹さん、ありがとうございました』
「じゃーな、樹」
最後まで私を気にかけてくれた樹さんに頭を下げて
ガレージを後にした。
何も言わず、ただただゆっくりと歩く慎太郎くんの背中を追っていると
「ごめんな、A」
そう言って立ち止まった彼。
顔が見えないまま、慎太郎くんは何度も謝る。
『もう、謝らないで』
「俺があの時に気づいてたら」
『もういいの』
「よくねーよ！…怖い思いしなくて済んだんだぞ」
怒ってるわけじゃない。
だけど、声を荒らげた彼に少し驚いた。
それに気づいたのか、すぐにまた謝る慎太郎くん。
「アイツら許せねぇ」
『っ………』
彼は振り返って私の方に近づくと
ゆっくり手を握った。
少し冷たいその手が優しく撫でる。
裏腹に声は怒りに満ちている様。
…私だって、許せないよ。
だから、
『……上書き、して』
「え、」
あの気持ち悪さを消す為にはこれしかないの。
慎太郎くんに全部捧げるから、
『記憶、消したい』
「A……」
そう言った声が思わず震えた。
しばらくして慎太郎くんに��本当にいいのか��と聞かれる。
頷いた私は腕を引っ張られ、彼の家に連れられた。
「嫌になったら俺を殴って止めて」
『うん…』
ベッドの上
優しく私を見下ろす慎太郎くん。
ゆっくりと私の頬を撫でた後、唇が合わさる。
何度も角度を変えて繰り返しながら
彼の手が私の太ももを触った。
『っ…、』
「怖い？」
『…ちがっ、』
思わずビクッとした体。
怖くなったと思われてしまったけど、…違うの。
あの男に触られた時に感じなかった、胸がギュウっとする感覚があって思わず驚いただけ。
思いっきり首を振って、慎太郎くんに抱きついた。
『続けて？』
「ん、」
慎太郎くんは全部、優しかった。
私を見る目も、声も、髪を撫でる仕草も
全てが甘くて、全てが初めての感覚だった。
彼の唇へ吸い込まれるように私の声は奪われて、
お互いの体は汗ばむほどに密着していく。
苦しくて、幸せで
自然と涙が出た。
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蝶-アゲハ-(プロフ) - さつきさん» 感想ありがとうございます！なんと、！？そんな読んでいただけてたなんて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！(土下座) (2021年8月31日 8時) (
レス) id: 7d431f17aa (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結お疲れ様です！更新されるたびにドキドキしながら読まさせて頂きました^ ^完結が待ちきれなくて何度も初めから読んだりするほど大好きな作品です！次のお話も楽しみにしています！！ (2021年8月31日 2時) (レス) id: 0e07e9da53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蝶−アゲハ−
| 作成日時：2021年5月28日 0時
