貴方side ページ25
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『慎太郎くん、……！』
「A！……A」
私の存在を確かめるかのように強く勢いよく抱きしめる。
あぁ……大好きな匂いだ。
慎太郎くんがいる。
『慎太郎くん』
「…ごめん」
私の首に顔を埋めたままの彼が、声を震わせた。
泣きそうな声で…言わないで。
『大丈夫、…大丈夫だよ』
「俺が大丈夫じゃねぇから」
暫く抱きしめ合っていた私達。
樹さんが、慎太郎こいつら。と倒れたままの男達を顎で指す。
ゆっくりと彼らを見渡した慎太郎くんは、
あの日慎太郎くんに絡んでいた男のほうへと歩み寄った。
「お前、中学んときに俺とやって負けた奴だろ」
樹さんのパンチで床に倒れていた男を
しゃがんで見つめる慎太郎くん。
…そう、昔の喧嘩相手だったの。
だから彼を恨んでて
私を利用して復讐しようとしたんだ…
「真正面からかかってこいや、汚ぇ真似しないで」
その瞬間、慎太郎くんの右手が倒れている男の頬に当たる。
鈍い音、初めてみた光景に思わず目をつぶった。
「おい、聞いてんの？」
田「慎太郎」
何度も繰り返されるそれを
収まるまで黙っているしかなくて。
横にいた樹さんが、ヒートアップしている慎太郎くんを名前で制す。
「二度と俺の前に顔見せんな」
最後の一発を与えた慎太郎くんが、
今までにない低い声でそう言った。
もう意識も殆どない、その男に向かって。
「A、」
『ん…？』
また私の元へ戻ってきたと思ったら
優しく私の頬をなぞって名前を呼んだ。
そして涙の跡に気づいた彼は、悲しそうな顔をして
怖かったよな、ごめん。と再び私を抱きしめる。
確かに、怖かった。樹さんが来なかったらどうなってたかなんて想像したくもない。
だけど、慎太郎くんが謝るのは違うよ。
来てくれてホッとしたんだ、だから今、泣いてるんだよ。
『樹さん、助けてくれてありがとうございました』
田「うん」
落ち着いた頃、私達は廃工場を後にして
樹さんの溜まり場だというガレージに行った。
お礼を言うと樹さんは私を助けてくれた時のように優しく微笑む。
頭に大きくて細い手が乗っかって、��俺の妹だからな��とわしゃわしゃ撫でられた。
「勝手に妹にすんなよ」
田「え？なんで？慎太郎は俺の弟、てことはAちゃんは妹でしょ？」
ね？と顔を覗き込まれてその近さに思わず頷いた。
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蝶-アゲハ-(プロフ) - さつきさん» 感想ありがとうございます！なんと、！？そんな読んでいただけてたなんて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！(土下座) (2021年8月31日 8時) (
レス) id: 7d431f17aa (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結お疲れ様です！更新されるたびにドキドキしながら読まさせて頂きました^ ^完結が待ちきれなくて何度も初めから読んだりするほど大好きな作品です！次のお話も楽しみにしています！！ (2021年8月31日 2時) (レス) id: 0e07e9da53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蝶−アゲハ−
| 作成日時：2021年5月28日 0時
