貴方side ページ3
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「眠い？」
『ううん、大丈夫』
信号待ちの時、ぐるっと振り向いた彼は
腰に回ってる私の腕をもう一度組み直す。
よりいっそくっつくから緊張で汗が止まらなくなりそだった。
「まだ走るからな」
『わかった』
……何処まで行くんだろう。
バイクから眺める景色が大好きだし
全然飽きないからいいんだけど。
このまま一生遠くまで連れてってくれるのかな、なんて。
それから暫く、彼のバイク音と景色に浸ってれば
速度がゆっくりになっていくことに気づく。
眠くないとは言ったけど、少しばかり意識はなかったかもしれない。
場所がわかった瞬間、パッと目覚めるように
息を飲んだ。
『ここ…』
「はい、降りて」
あぁ、前に来た所とは違う。
海。
夜の海だ。
奥に見える工場の光や月の光が海に反射して綺麗に輝いてる。
『わぁ』
「こっち」
砂浜を少し歩いてると大きな流木がポツンとあった。
そこに慎太郎くんが座ったから私も横に腰掛ける。
夏の夜の海って涼しい。
風があるからだろうか、ジメッとした空気がなくて
気持ちいいと感じた。
『綺麗』
「目、瞑ってみ」
『ん…』
言われた通りに目を閉じた。
そしたら、海の並同士がぶつかる音がして
遠くで聞こえる車の音もだけど
何もかもが非現実的だった。
「前に言った、海の音」
『うん』
「…結構良いだろ」
『とても』
連れてってって言ったの、覚えてくれてたんだ。
『いつもここに来るの？』
「落ち着くからな」
『うん、落ち着く』
嫌な気分もすぅーと抜けてくみたい。
ただ音を聞いてるだけなのにね。
『…ありがとう』
慎太郎くんは、ミヤビちゃんから何処まで聞いたんだろう。
何も言わないし、私がこんなに泣いてるのに
理由を全然聞いてこないのは彼の優しさなのかな。
そう思うと、より一層
彼の事が好きになるの。
もうたまらないくらい、
『…………好き』
海を眺めるその横顔が儚くて。
言うつもり、なかったのに…
やっぱり今日はなんでも口に出てしまうのね。
私の言葉でゆっくりとこちらを向いた彼に
もう一度。
『大好き』
と言った。
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蝶-アゲハ-(プロフ) - さつきさん» 感想ありがとうございます！なんと、！？そんな読んでいただけてたなんて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！(土下座) (2021年8月31日 8時) (
レス) id: 7d431f17aa (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 完結お疲れ様です！更新されるたびにドキドキしながら読まさせて頂きました^ ^完結が待ちきれなくて何度も初めから読んだりするほど大好きな作品です！次のお話も楽しみにしています！！ (2021年8月31日 2時) (レス) id: 0e07e9da53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蝶−アゲハ−
| 作成日時：2021年5月28日 0時
