貴方side ページ25
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「じゃ、試してみる？」
『なにを…？』
「ほれ」
彼がゆっくり起き上がって指を指した。
自分の顔に向けて。
『どういう…』
「パンチ」
『え！？』
俺の顔、殴ってみてって言うの。
そんなことしたことないのに！
『むりだよ！』
「いーから、こうやって」
なんか、楽しんでる？
抵抗してる私の手を無理やり掴んで握りこぶしを作られる。
『人殴るとか、したことないって…』
「はは、避けるから大丈夫」
親だと思って殴る練習してみろよ、って白い歯見せて笑うの。
仕方がわからないから出来ないのに…
そんな笑顔にならないでよ。
しょうがなく、目をつぶってそのまま真っ直ぐ腕を伸ばした。
『っ！避けてよ！』
「お前、パンチ弱すぎだろ」
目をつぶったせいで何処に慎太郎くんの顔があるかなんてわからなかったけど、
拳に当たったのは間違いなく慎太郎くんの顔で。
急いで目を開けると涼しい顔してほっぺに私の拳を受けてる彼が、目をぱちぱちさせてこちらを見てる。
『避けるって約束だったじゃない！』
「見るからに痛くなさそうだったから」
『だからって…』
痛くないと言っても私は初めて人を殴ってしまった…という罪悪感しかない。
「つか、殴るときは相手の顔ちゃんと見ろよ！」
『み、見れない…』
「見ないと倒せないぞ」
グッと引き寄せられて顔が近づく。
こんな至近距離に慎太郎くんが、と思わず固唾を飲んだ。
胸の鼓動は速まるばかり。
『な、なに……？』
「ちゃんと俺を見て」
『…え？』
彼の瞳に反射する私。
それが見えるほどの距離で言われて、お互いが数秒固まった。
慎太郎くんがなにか言おうとした瞬間、
屋上の扉が勢いよく開く。
ミ「遅くなってごめーん！！」
扉が開くなり、飛び出してきたミヤビちゃん。
先生に捕まっちゃってさー、と言いながら
私たちを見上げて不思議そうな顔をした。
ミ「あれ、…お取り込み中だった？」
『え？………あ、っいや！』
彼女に気を取られていた私は、慎太郎くんとの距離を忘れてた。
急いで離れたけど、ミヤビちゃんの顔はゆるゆるで。
なにー？と何度も聞いてくる。
必死になにもない！って言う私を、
慎太郎くんはくくくって我慢するように笑ってた。
こんなに彼の笑顔を見たのは初めてだったから嬉しかった。
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蝶-アゲハ-(プロフ) - みーさん» うっへー！ありがとうございます！滝涙。語彙力なくてすいません。これからも読んでください！お願いします！！（土下座） (2021年5月24日 23時) (
レス) id: 7d431f17aa (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！蝶-アゲハ-さんの書く小説がめちゃくちゃ好きです(;_;) (2021年5月24日 22時) (レス) id: ac72a53697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蝶−アゲハ−
| 作成日時：2021年4月1日 0時
