慎太郎side ページ9
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「…生意気な小娘め」
結局俺は、近くの回転寿司で出前を頼んだ。
今はお寿司を取りに行った後、ホテルへ帰ってる途中。
初日早々からこんなワガママっぷり出されちゃ、
たまったもんじゃないな。
田「慎太郎ありがとな」
ジ「オツカレ」
「はい、頼まれたお寿司デス」
『うわぁ!コレコレ!』
部屋について、テーブルにお寿司を置いたら
お腹を空かせた彼女は子供のように喜んでいる。
てか、
「ちょいちょい、」
『ん?』
「俺になんか言うことは?」
わざわざお寿司買ってきたんだよ?
それなのに礼のひとつも無いわけか?
礼儀にはとびきり厳しい環境で育った俺は、このままなのが許せなくて、彼女からお寿司を遠ざけた。
『ねぇ!ちょっと!』
「言うまで食わせない」
『SPなんだからクライアントの言うこと聞くのは当たり前でしょ?』
「だとしても言うことはあるだろ」
横にいた樹とジェシーがハラハラしてるのがわかる。
まずクライアントにこんな態度取る時点でダメだし、これで契約取り消されたら俺らだけじゃなくてカズさんにも迷惑が掛かる。
だから本当は我慢すべき。
これが樹かジェシーだったら我慢してるんだろうけど、俺は無理!思ったことは言う!
『……………』
「なんだよ……って、おい!」
『Thank you〜』
数秒睨まれて、これマズった?と油断した隙に奪われた寿司。
ニンマリと笑ってやっと手に入れた食材に喜んでる彼女が、俺から寿司を遠ざけるようにリビングの向こう側へ行った。
田「慎太郎がこんな遊ばれるの初めてだな」
「助けてくれよ」
ジ「なんだかんだ仲良くなりそうだね!」
「ならねぇよ!」
お寿司を頬張る彼女を見ながら、俺ら3人は肩を落とす。
といっても俺だけか?疲れてるの。
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作者名:蝶-アゲハ- | 作成日時:2022年3月1日 0時